もりくらす / トイレをつくる_話01

わたしのフォレストガーデン(畑)には
おトイレがありません

休憩時には近くに仮住まいしている小屋へ戻るのですが、「トイレに行きたい」と思ってから車で小屋まで移動するのは本当に面倒です。

青空の下で作業をしているのに、トイレに行くのが面倒だから水をあまり飲まないのは体に良くないし、その場にあった方が作業効率が良いことは間違いない。もうここでしてしまおうか、と何度思ったことか…

そして今、耕作放棄地を借りてから、整備したり、柵を作ったり、メンテナンスしたり、植物を植えたり、なんだかんだして1年が経ちました。

ようやく色々と落ち着いて、

畑にトイレが欲しい。

というか、

むしろ、トイレ作りたい。

と本気で考えるようになりました。

し尿の処理方法

水道もない、電気もない、青空の下のこの畑にどのようなトイレが設置可能なのか、考えてみましょう。

し尿の処理方法には4種類あり、

水洗式

は、各トイレで出た汚水が下水道を通り汚水処理場などでまとめて処理して放流されるのに対して、

浄化槽

は、各家庭などの最小単位に設けられる汚水処理槽で、汚水処理場同様に微生物の働きなどで汚水を浄化し、きれいな水にしてその場で放流することができます。

汲み取り式

は、便槽にし尿を溜めて、いわゆるバキュームカーで汲み取ってもらい、汲み取り先で処理してもらう方法で、

バイオトイレ

は、その場でし尿を分解して処理する方法のトイレのことです。

「簡易水洗式」と言って、浄化槽や汲み取り式でも水で流れるシステムがありますが、下水道に流れるか、が大きな違いになります。

持続可能な暮らし探しの旅をしていた時「森を食べたい / 森を食べたいに至る_話00」を参照)はほとんどがバイオトイレで、仕組みも理解しているし、一番低コストで循環型のバイオトイレかな、と思いました。

しかしここは借地、地主の理解が必要だし、設置する上で色々と確認したいこともあるし、この際それぞれの違いを再確認して、

「法律コスト主体のフォレストガーデンのコンセプト」

に見合ったベストなおトイレを考えよう!

ということで、漢字が多くなります。

確認していきましょう。

確認したい法律

せっかく設置するなら法律はきちんと守りたい。まず、確認したいのは下水処理に関連する法律。

まず、下水道法建築基準法 第三十一条により、下水道が整備された処理区域内において、新設するトイレに関しては水洗便所でなければなりません。

そして、建築基準法同条②と浄化槽法 第三条により、公共下水道以外に放流しようとする場合においては、浄化槽を設けなければならず、

さらに、浄化槽法同条②より、下水道予定処理区域以外で浄化槽を設置して放流する場合は、水洗トイレからの汚水と台所排水などの排水を一緒に処理する合併処理浄化槽でなければ設置できません。

 

畑がある場所は下水道が通っておらず下水道予定処理区域以外のため、水洗式以外の選択肢になり、

放流させる場合は適切な浄化槽、放流させない場合は汲み取り式、

もしくはバイオトイレを設置する場合は「放流させない」ことが重要になります。

バイオトイレは「囲われていて漏れたりすることがない」ことがキーポイントですね。

次に確認したいのが、設置に関する法律です。

気になるのは、農地にトイレを設置することができるのかトイレが建築物に該当するのかです。

まず、農地法 第四条により、トイレは農業用施設に該当し、農地を農業以外の用途で使う 転用行為 として認められます。また、農地の管理などに必要な事務所などもトイレと一体として設置される場合は農業用施設に該当しますが、これらは周辺の土地に設置することによってはその目的を達成することができない場合に限ります。

2アール未満の農業用施設用地への転用については、許可は不要で農業委員会への届出すれば設置可能です。

そして、建築基準法

設置するトイレを仮設トイレとして、それが建築物にあたるかどうかの判断基準は国住指第1551号通達「仮設トイレの建築基準法上の取扱いについて」で示されていて、

「仮設トイレのうち,規模,形態,設置状況(給排水等の設置が固定された配管によるものかどうかなど)等から判断して,随時かつ任意に移動できるものは,建築基準法第2条第1号に規定する建築物には該当しないものとして取扱うこと」とされています。

ということは、

浄化槽や便槽などを地中に埋める場合随時かつ任意に移動できないので、建築物に該当するということ。建築物は建てる時に建築確認申請が必要になり、書類を作るのも素人ではなかなか大変そうです。

よって簡単に移動できるとなると、浄化槽は対象外になります。

 

となると、法律的な条件でも設置できそうなのは

地中に埋め込まないタイプの汲み取り式(イベントなどで見る仮設トイレのようなもの)

容易に移動できる囲われたバイオトイレ

ということになります。

コスト

わかりやすいのでイベントで使われる仮設トイレで、農地の借地期間と仮設トイレの寿命を10年として計算しましょう。

1年間でかかる金額 10年間でかかる金額 汲み取り料を足した総額
簡易水洗和式トイレ 新品 約200,000円〜 約200,000円〜 約350,000円
簡易水洗和式トイレ 中古 約70,000円〜 約70,000円〜 約220,000円
レンタル 相場 約36,000円 約360,000円 約510,000円
汲み取り 約15,000円 約150,000円

これを見ると、長期で使うなら購入が安くなり、これがトイレを作るのに掛けられるお金の目安とすることができます。

コンセプト

ここで初心にもどって、フォレストガーデンでしたいことのコンセプトを再確認。

やはり大きなテーマに、サスティナブルと循環があります。

排泄物は汚いものとして扱われるけれど、1940年代までは日本だって堆肥にして農業で使われてきた歴史があります。フォレストガーデンで堆肥として使うかは一旦置いておいて、分解して大地に還せるものを、炭素を使って運んでさらに処理するのは色々と勿体無い気がするのです。

せっかくなので、ここはやはり バイオトイレ

作れるかさらに検証したい!

作るとすれば「新品」になるので、

約35万円でバイオトイレを作れるか!?

話02に続く。

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