田舎の春と秋は山菜パラダイスだ。
田舎にはそこら中に食べられる植物がたくさんある。山菜狩りは田舎の嗜みであり特権とも言える。
山菜と野菜
山菜といえば樹木を含む多年草が多く、野菜といえば一年草が多いのがイメージだ。
植物は根から自分一人の力で水や栄養を吸収しているだけでなく、実は多くを周囲の微生物と繋がって、その力を借りて吸収している。そのため、同じ場所に長い間根を張る多年草は微生物との繋がりも強く、強健なものや栄養価が高いものが多い。
なぜ山菜の話かというと、
実はフォレストガーデンは「山菜を自然で育っているように育てる」ということに似ている。
少ない手間で最大限の食糧やその他有用なものを獲得する。
山菜狩りは正味「探す、狩る、調理する、食べる」ことしかしない。多年草は毎年ほぼ同じ場所に生えてくるため、近場で場所さえ知っていればとても効率の良い食糧調達法だ。フォレストガーデンの理想とも言える。
話00に登場したイギリス人。実は山菜のことを知りたくて仕方がないけれど、日本語の本しかないと嘆いていた。さらに、尊敬するイギリスのフォレストガーデナーのガーデンにもサンショウやミョウガなどの日本の山菜が多々あった。
森の土壌の肥沃さは畑のに比べて低い。それなのに、毎年毎年、同じ場所に、栄養価の高い新芽や果実を実らせてくれる。
当たり前の話だが、一年草の野菜は1年未満で生涯を終わらせる。わずか数ヶ月の間にたくさんの養分を土から吸収してフルサイズになって、人間が食べられるまでの作物を実らせてくれる。一方多年草はというと、生育に余裕がある。来年も、再来年も、ゆっくりとゆっくりと大きくなれる。ここに一度に吸収する養分の差が生まれてくる。さらに必要な養分は時期によって変わってくる。
天然の山菜は100%物質の循環のもと生育してるため、必要な植物に 必要な時に 必要な養分と水 が分配されれば、作物ができる。ということになる。養分はこれまでに堆積した草木や訪れた動物が落としていくものが分解されたものということになり、そして、それぞれの生物が成長を助け合える空間が適切な場所で絶妙なバランスで保たれているある一時に、山菜が採れる。ということになる。
これはフォレストガーデンを作るときの重要な考え方の一つで、
フォレストガーデンは天然の森林を模擬して作る、目的の作物たちを採るために設計された人工の森
なのである。
さて。山菜がとても素晴らしく貴重で、フォレストガーデンとどのような繋がりがあるかがわかったところで、身近で採れるすてきな山菜たちを紹介したい。
新見の山菜たち
身近で採れる山菜たち6つ☆
春〜
◇ ハナイカダ:Helwingia japonica
食用部位:新芽 / 代表的な食べ方:天ぷら、菜飯
クセがなく、噛むと果物のような香りが鼻に抜ける。
落葉低木。山地の林内や湿り気のあるところに自生。
◇ ヤマウコギ:Acanthopanax spinosus
食用部位:新芽 / 代表的な食べ方:菜飯、お茶
一度にたくさんに採れる!独特の香りがご飯と合う。
落葉低木。日当たりの良い土手や野山に自生。
◇モミジイチゴ:Rubus palmatus
食用部位:果実 / 代表的な食べ方:生食、ジャム
木苺の中ではマイベスト。瑞々しく甘みがありおいしい。
落葉低木。山地の林縁にごく普通に自生。
秋〜
◇ヤマボウシ:Cornus kousa
食用部位:果実 / 代表的な食べ方:生食、ジャム、果実酒
若干洋梨のような味。そのまま凍らせて食べても美味しい。
落葉高木。山野に自生。
◇アケビ:Akebia quinata
食用部位:新芽、果実 / 代表的な食べ方:生食、果実酒
じつは皮も食べられる!?見た目だけで採りたくなる。
蔓性落葉低木。山間の平地や林道。
◇ヤマイモ:Dioscorea japonica
食用部位:むかご、(担根体) / 代表的な食べ方:塩茹で
ちょっとの粘り気と新鮮な香りがお酒に合うこと間違いなし。
つる性多年草。山野の林縁、里の山間の平地や林道。
その他、タラノキ、コシアブラ、フキ、ワラビ、コゴミ、イタドリ、グミ、クワなどなど。。寒冷地特有の山菜も多々見つけることができる。まさに山菜パラダイス。
自然とつながる。自然の恵を味わうってとっても贅沢。
まだ試したことない人は、来年春、是非挑戦してみて欲しい。
(⚠️山菜を採るときはガイドに見習いましょう)