12年間住んでいた東京を離れ、2024年2月末を機に岡山県新見市にUターンされた阿部 拓(あべ ひろむ)さん。
高校卒業後、関東の映像系の大学へ進学、卒業後はテレビ制作や写真館で仕事をされていたそうです。
新見市が大好きだという阿部さん。
人が少ないことをポジティブに捉えた写真家ならではの新たな視点で、故郷の良さをアピールしていきたいと楽しそうに語ってくださいました。
都会から故郷の田舎へ。
そんな阿部さんのUターンのきっかけや新見での暮らし、故郷に対する思いなど、伺ってきたので紹介していきます!
Uターンのきっかけ
nami
関東ではどんな仕事をされていたのですか?
映像の大学へ進学し、卒業後はテレビ制作の仕事を8年間、直近3年は修行を兼ねて写真館でも働いていました。
阿部さん
nami
映像の仕事と写真館の仕事をされていたんですね。家業を継ぐつもりでその道に進まれたんですか?
もともと名前が残るような仕事に興味をもっていたので映像の大学に通い、名前を残したいという気持ちでテレビの仕事をしていました。
テレビの制作現場で地方に行った時に、田舎を訪れる機会も多く、「地元はよかったな〜」と思う瞬間がたくさんあり、地元に帰るのもいいなと思い始めた頃に、父親が写真で大きな賞をとりました。
その時に、自分が撮った写真がその家族の思い出としてずっと残されていくのは、映像と一緒だと気づき、写真館で修行してUターンすることにしました。
阿部さん
nami
お父様が賞をとられたことで、写真の道に進まれたんですね。
あべ写真館の一員として
nami
現在、ご家族であべ写真館を営まれているとのことですが、阿部さんの仕事について教えてください。
父親がメインで撮影している時は、アシスタントをしたり、依頼があれば横から動画撮影をしたりしています。
帰省した友人や遠方にいる友人からお祝いなどを機に、あべ写真館を利用してくれることも増え、自分が撮影する事で自分がしたかった事を友人たちが叶えてくれているので、この仕事を始めて良かったなって思います。
最近では、中学高校の卒業アルバムを担当させてもらっています。
東京にいた時は悲観してみていたんですが、戻ってきて新見の子供達と接する機会がたくさんあり、とてもエネルギーがあって、とても楽しく学校に通っているんだなって感じます。
若い子たちが元気で、公立大学の学生も元気にボランティアされていたりとエネルギッシュで、東京では感じれない人と人の繋がりの濃さがこの街にはあるなと感じています。
阿部さん
nami
地元に根付いた写真館だからこそ、地元の友人や地域の方々と接する中で、いろんな出会いや新たな気づきの場にもなっているんですね。
新見の暮らし
nami
Uターンされた時は、都会と田舎での暮らしにギャップは感じましたか?
新見が好きでよく帰省していたので、ギャップはありませんでしたが、東京にいた頃は20時から街が賑やかになるイメージだったのに対し、新見は夜8時になると真っ暗。
静かな街にはなりますが、それはそれですごく好きで。出ちゃいけない時間に出たっていう幸せみたいなものが味わえます(笑)
阿部さん
nami
確かに(笑)20時になるとお店がほとんど閉まって、21時には信号が点滅する箇所がほとんどですものね。
都会に比べ、体感的に夜の訪れが早い新見での暮らしですが、不便と思ったことはないですか?
今のネット環境があるおかげで不便さは感じていません、むしろ新見は自分の時間が作りやすい街だなと改めて思いました。
東京にいる時はいろんな人と交流する機会が多く、帰宅時間が23時、24時は当たり前で。
新見だと、いい意味で人付き合いや趣味に費やす時間が減ったので、家族で一緒にいる時間が増え、休日には一緒に出掛けたりしています。
それを考えると、新見は自分の時間を大事にしたい人にとっては最適な場所なんじゃないかなって思います。
阿部さん
nami
「田舎は自分の時間が作れる」というのは、都会に住んでいたからこその新たな発想ですね。
休日は、ご家族でお出かけされるとのことですが、仲が良いんですね。
仲良い方だと思います。
特に父親とは、お互いに吸収し合いながら向上していける部分が共通していて。面白いと思ったことはすぐ取り入れようとする父親の精神がとても好きです。
欠点を探すのじゃなくて良いところを探す、新見市にもつながると思うんですが、悪いところを考えるのではなく良いところをみんなで見て伸ばして、悪いところは補っていければ一番良いんじゃないかなって思います。
阿部さん
nami
「良いところを伸ばす」、田舎の一つの課題かもしれないですね。
ちなみに阿部さんが思う、新見の良いところってどんなことですか?
そうですね。たとえば、最近TikTokで注目を集めている新見の荒戸神社や済渡寺ですかね。
ここって、地元に昔からある場所で、いわゆる観光地ではないので普段は人がほとんど訪れない場所なんですが、そこにしかない自然美や幻想的な風景を感じられるからだと思うんです。
それって、人がいないからこそ成り立つ風景で、そこに行くからこその体験や感動があるからじゃないのかなって。
そういった素敵だなって思える場所は、ちょっと目を向ければ新見にはたくさんあるので、そんな新見の魅力を発信していけたらもっと面白いなって思います。
「人がいないってのを利点としたら面白い」って考えは、東京から帰ってきたから思えている部分もあると思うので、この気持ちはずっと持ち続けていきたいですね。
写真を通じて、新見の魅力や人を伝えて、人を呼び込める街づくりができたら良いなって思います。
阿部さん
Uターンをして、家業のあべ写真館のスタッフとしてご活躍されている阿部さん。
人がいなからこその自然の風景など、写真家ならではの視点で新見の魅力の話をたくさん聞かせていただくことができました。
「悪いところを見るのではなく、良いところを伸ばす」、子育てに似ているな〜と思いました。
上京したからこそ気づいた新見(田舎)の良さを、阿部さんのフレッシュな視点で掘り起こし&発信されることで、新見市の見方もガラッと変わる可能性を感じました。
「新見LOVE」と終始楽しそうに話をしてくださった阿部さんのこれからの活躍が楽しみです!