森を食べたい / vs. 雑草 _話08

雑草との戦い

都市に住んでいると、道端にポツンと生える雑草を見て「あ、小さくて、かわいい」なんて思うことがあったが、ここでは厄介な雑草が生えていたりするといかに抹消するかが頭に浮かぶ。

人里離れた田舎暮らしは「雑草との戦い」と言っても過言ではない。

そもそも「雑草」という草は存在しないのだが、人間が役に立たないとか厄介と思った植物に「雑草」と一括りに名づけられた可哀そうな草たちだ。英語にも「weed」という同様の言葉があるが、イギリスでフォレストガーデンコースを受講したときに、先生が「weedという草は存在しないんだよ、植物がかわいそうと思わないか」と言っていた。

確かに、使い方やどのように役立っているかを知らないだけで、一つ一つの雑草が周囲の生態系を作り上げるのに何らかの役割を果たしているのは間違いないだろう。それは、昆虫の隠れ家だったり、何かの食べ物だったり、土が流れるのを防いでくれていたり、水を蓄えたり。

たくさんあるが、育てたい草木が雑草に負けて枯れてしまうのは避けなければならない。特に苗がまだ小さい時は生命力旺盛な雑草の根が苗の根の成長を阻害するため、何らかの対策をしなければならない。

Let’s 雑草対策

雑草対策には色々あるのはご存じだろうが、ここでは色々な方法をまとめて紹介したい。それぞれの目的や好みに沿ってどの対策を施すかの参考になればと思う。

物理的に除去

草引き

大きな機械が入らない場所や砂利や芝生に生えた雑草などはどうしても手での草引きになる。草引きにも道具があり、草引き釜や捻り鎌を使えば根っこから綺麗に雑草を取り除くことができる。抜き具合によって自然な風景を作り上げることができるので、砂利と芝生の間など生え方にグラデーションをつけたい時には最適な除去方法だし、土地をより深く理解することができる。終わった後の達成感は一番かもしれない。

耕耘

根を起こして広い面積を効果的に抑制できる。根が深いタンポポやダイオウ、繁殖しやすいカヤなども頻繁に耕耘を繰り返すとで根絶することができる。畑の畝と畝の間の通路の雑草対策としてや、広い面積の遊休地の最初の開拓手段として有効である。一方で、繰り返し耕耘できない場所は長期的な効果が薄く、また、耕耘することで重要な役割を果たす微生物を殺してしまったり、随分昔に落ちたであろう種が表面に出てきて発芽してきたり、養分が豊富な表土が埋もれたり、土が乾燥したりなどと土壌に与える影響は大きい。

外的要因による抑制

除草剤

価格が高いが、撒くだけの一番エネルギーが掛からない方法。いろんな種類の除草剤があり、特定の雑草に対応したものや動物が食べても大丈夫なような除草剤も販売されている。一方で、植物を殺すだけあって土壌中の多様な生き物も殺してしまうし、間違ってペットや子供が口にすると大事になる。また、使用後は1ヶ月かもしくはそれ以上植物を植えられないなどの注意事項があるため、使用方法、残留期間、使用による影響など国内外の情報をよくよく調べてから使用することをお勧めする。

遮光

シートマルチはどこにでも簡単に敷くことができるので便利だ。種類も様々で大きさや素材など用途に合わせて選べ、中には生分解性のものもある。一般的に耐久性が優れたものほど高価になる。シートが風で飛んでしまうと作物を傷つけてしまったり、素材によっては小さなゴミが出ることが気になる点。有機マルチとしては段ボールや落葉、チップなどが使われ、自然に分解した後は堆肥になるため一石二鳥だ。しかし、有機マルチを使う場合は十分に遮光効果があり、上からの水が地表に届く適切な厚さに保つ必要がある。また、スギナやヨモギ、ドクダミなどの根茎で増える植物にはあまり効果がなく、その他の雑草の勢力を弱めるためにも2〜3年以上敷きっぱなしにした後に適切なメンテが必要になる。また、遮光とまではいかないが、大きく成長する木を植えることも長期的には効果的だ。「日向」で育つ植物は1日の直射日光時間が4〜5時間必要なため、植物だけで大半の日を遮るためには密に植える必要があるが、勢力を弱める効果はある。

植物の力を借りる

アレロパシーとは植物が他に作用する効果を指すが、自然界では阻害作用が目立つ。他の植物の生育を阻害するアレロパシー効果を持つ有名な雑草がセイタカアワダチソウだ。背が高く秋に開花する鮮やかな黄色い花にその後のふわふわした種が空き地に群生しているのをみたことがあるだろうか。その他、オオムギやソバ、シロツメグサやクルミなども制圧作物としては有名である。雑草が生えるところに食べられるものや生育を助けるものを植えるのはアグロフォレストリーとしては有効な手段だ。

動物の力を借りる

草を食べる生き物は植物からすれば天敵だ。家畜を導入するのはまず一つの手で、一番手頃なのは鳥類だろう。鶏、鴨、アヒル、七面鳥など色々あり、恩恵として卵や肉を頂ける。しかし、そもそも草が主食ではないため適切な飼料も必要になるし、イタチや狐などの天敵対策も必要になる。ヤギも有効な家畜の一つで、天敵が野良犬しかおらず、主食も草であるため十分な雑草があれば飼料の心配はない。それより大きな家畜になると、体重の約10%の生草を食べるため、それなりの量の雑草が必要になることは見積もっておこう。そして虫も草を食べる。例えばキャベツを食べるアゲハ蝶の幼虫のように、特定の雑草を食べる虫はいる。基本的には害虫として嫌がられる虫たちだが、そんな虫たちが訪れて、育てている野菜ではなく雑草の方を食べてくれたらなんで素晴らしいバランスになるだろう。そんなことができるだろうか。。

やってみる

色々な雑草対策があり、自分に合う方法を選べば良いと思う。個人的に好きなのは、除草剤以外の外的要因による抑制方法。これらを組み合わせてどれが合うか、効果的か、色々試しながら試行錯誤しているところ。うちはこんなことやってるよ!という目から鱗話や面白い方法があれば是非教えていただきたい。

雑草とうまく付き合う。これが人里な慣れた田舎暮らしでもフォレストガーデンでも重要なカテゴリーになることは間違いない。

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