子供の1歳のお祝い「たじょう」!新見の伝統芸能神楽を取り入れて

たじょうお祝い

子供の1歳のお祝い「たじょう」。新見以外では「初誕生(はつたんじょう)」と呼ばれる行事です。新見の「たじょう」とはどんな行事なのでしょうか?我が家で新見ならではの伝統芸能神楽を取り入れた「たじょう」を行ったので紹介します。

先日、我が子が1歳の誕生日を迎えました。
1歳というと「初誕生(はつたんじょう)」と呼ばれる行事がありますね。ここ新見では「たじょう」という呼び方でお祝いをしています。

「たじょう(初誕生)」とは

医療が発達していなかった時代、生後1年の誕生日はとても喜ばしい特別な日でした。
“初誕生”は、満1歳の誕生日を無事迎えたことを感謝し、親戚などを招いてお祝いする風習です。このとき行なう伝統的な行事には、“一升餅”や“選び取り”といった儀式があり、新見では「たじょう」と呼んでいます。

一升餅の準備

まず、「たじょう」といえば一升餅。
これは、一生=一升にかけたもので、一生食べ物に困らないように、これからの一生が健やかになるようにと一升餅が用意されます。本来は一升(約2kg)分の大きな丸餅を風呂敷に包んで子供に背負わせるようですが、現在ではすぐ取り分けられるよう紅白の小餅にして風呂敷で包むのが一般的のようです。

それに習い、我が家も紅白の小餅で用意。
その餅は私の実家で用意をしてもらいました。地元(由縁)の物を使いたいと思っていましたし、実家のある新庄村がこの辺りでもお餅で有名なところだからです。

ここ新見市でも美味しいもち米がとれます。そのもち米でつくもよし、親戚や知人が育てたもち米でつくもよし。地のものを使ってお祝いしてあげるとひとしおです。

全部で三升分あります。手前の小袋は神楽「大国主命の舞」で神様がもち投げします。

選び取りの準備

次に、選び取りの準備。
そろばん、筆、お金、お米が基本アイテムですが、今回は好きな絵本を忍ばせてみました。そろばんや筆は家族が使っていたもので準備。

そろばんなら商人向き、筆なら文学や芸術に秀で、お金なら将来お金に困らないと言われていますが、絵本なら作家でしょうか(笑
現代では、楽器やスポーツ道具なども入れたりするようです。

神楽の依頼

ここまでは一般的な準備の流れですが、私は新見の伝統芸能でもある神楽を取り入れてお祝いをしてあげたいと思い、依頼をしました。

我が家は昔ながらの古民家で、奥の間の天井がとても高いのです。

古民家の多くは、昔は家に神楽を呼んで舞ってもらえるようにと天井が高い作りになっているんですよ。そして依頼をした理由の一つに、実は私の1歳の「たじょう」にも神楽を舞ってもらっていたと聞かされていたからです(記憶はありませんが、映像が残っていました)。

たじょう本番!

それでは、いよいよ「たじょう」の始まりです!

今回依頼した上市の神明社の神楽の舞からスタート。
お願いした演目は、主人のお気に入りの「猿田彦の舞」、お祝い事には欠かせない「大国主命の舞」。神明社の方の計らいで「オロチ退治」も舞ってくれました。

今回は小学生〜中学生までの子供達が披露してくれました。大人の舞はもちろんですが、間近で見る子供の舞も圧巻です。

新見市には、この伝統芸能を伝承すべく各地域で子供たちが神楽を学ぶ場所があります。そして、子供神楽としてイベントなどでも舞う機会もあり、身近に神楽が親しめるようになっています。
我が子も神楽に興味を持つようになれば習わせたいなと思っております。

神楽は「たじょう」以外にも新築祝いや結婚など、全てのお祝い事に適しています。ぜひ、お祝い事があれば新見の伝統芸能を取り入れてお祝いをしてみてはいかがでしょうか?

 

そして、選び取りの番です。

昔ながらのやり方で、風呂敷に一升餅を包んで背負わせます。
重たい物を背負った事のない我が子。家族や親戚の大人たちからの声援も虚しく、動くこともできず、大泣きでした。

最後は、選び取りの場所まで大人の助けを借りての移動でした。機嫌が直り、涙を流しながらも興味津々に近づき、筆とお金を選びました。

将来はどんな大人になるのか楽しみです。

 

いかがでしたでしょうか?

かなり我が家に寄った「たじょう」のお祝いの内容となりましたが、親だけでなく親戚一同みんなで全力で“生きる”を祝い喜ぶ。それぞれに幸せを実感する一日だったと思います。

現代では初誕生の伝統行事は消えつつあり、それに代わり、一歳のお祝いといえば記念撮影や贈り物などが一般的になりつつあるようですが、こうやって、その土地にしかない文化や地のもので、みんなの心に残るお祝いをするのも良いものだとしみじみと思いました。

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