野菜の直売所(産直市)へ行くと並ぶ、生産者の名前シールが付いた野菜たち。
でも、実際どんな人がどうやって生産しているの、、、?!
道の駅、農協、地元の生産組合などが運営している直売所。
新鮮で美味しい野菜がリーズナブルに手に入ると人気があり、旅行などで通りがかったら、必ず立ち寄るという人も多いのではないでしょうか?かくゆう私もその1人でしたし、田舎に移住してからは、日々のお野菜はできるだけ直売所で買うようにしています。
また、移住希望者さんの中には、自分の家で採れたお野菜を直売所へ出荷したいと思っている方もいるはず。
名前シールこそあるものの、その地域に住んでいないと実際にはわからない生産者さんの様子。
ということで今回のニミログ記事では、直売所に出荷をしている地元農家さんにお話を伺ってみました!
農家さん(藤澤清さん)のご紹介
ご自宅前の畑を背に微笑んでらっしゃるのが藤澤清さん。
生まれも育ちも新見市唐松エリアで、野菜づくりキャリアは、幼き頃の手伝いから考えれば約65年。
近くにあるJAあしん広場(直売所)に野菜を出荷して15年になるとのこと。
畑でつくる野菜は全て直売所での販売用。
地区でも野菜が美味しいと評判になる腕前の清さんにお話を伺ってみました!
yukimi
家の周りの畑をなさっているとのことでしたが、今どのくらいの面積で野菜づくりをなさっているのですか?
野菜は10a(アール)、水田は40a(アール)。家の目の前の畑もあれば、少し離れてて車で2分くらいの場所の畑もやっとるよ。
清さん
これからの植える葉物野菜用に鍬を使ってマルチをつける作業中
yukimi
50アール! つまり5,000平米ですね!そんな広い面積をお1人で、、、どんな風に畑仕事しているんですか?
夜が明けたら、畑に出るけぇの。今*はだんだん日の出が遅くなっているから、朝の6時頃。夏だったら4時頃には畑仕事をはじめるんじゃ。鮮度命で朝採りした野菜を出荷することをポリシーにしているから、この時間は必須。採れた野菜を仕分け、ビニール袋にいれ、8時〜9時の間に直売所へ持っていくのが普通じゃ。(*取材に伺ったのは10月9日)
清さん
トマトの大きさ、色、形などをあわせ、どんどん袋詰していく
yukimi
朝採り野菜! 確かに先程畑で食べさてもらったトマトもみずみずしく甘くて美味しかったです
そうそう、味が違うからね。これは食べた人にしかわからないけれど、その美味しさを知ってしまったらやめれられないんじゃ。ただ朝採りができるのは10月末まで。11月〜4月は霜がおりるから、前日の夕方採りになってしまうけぇの。
清さん
yukimi
なるほど。生産地が近い人だけが味わえる特権ですね。そして、気候にあわせ収穫の仕方も違うんですね。年間を通じてどんな野菜を作られているんですか?
夏の主力は、きゅうり、茄子、トウモロコシ。トマトは今日は出荷するけど、ほとんどは自家用。
秋は、キャベツ、ショウガ。冬は白ネギ、ほうれんそう、水菜などの葉物。春は、春キャベツと新玉ねぎじゃな。
その他、変わり種で、コリンキー(サラダカボチャ)、コールラビ、芽キャベツ、食用ほうずきやマコモダケも出すけど、たくさん売れるわけでもないしなぁ。どちらかというとお遊びじゃな。ただ、栽培品目にしろ品種にしろ、地区での「初めて」をいろいろ試してつくってみるようにしてるんじゃ。
清さん
yukimi
新たなことにトライとはさすがです!今までどんな品目がうまくいった手応えがありますか?
一番は白ネギじゃな。ここらではだれも作っとらんくて、自分がはじめた頃は直売所でも鳥取県産をみかけたけれど、今は新見産がだいぶ増えとんじゃ。実際に、周りの農家も作り方を教えてくれ〜とうちの畑に何度も来たけぇの。あとは、フルーツとうもろこし。これは大ヒットなんじゃ。値段は普通のトウモロコシの倍するからただ並べるだけでは売れんだろと思って、最初の2〜3年は店頭に立ち試食で「トウモロコシの天ぷら」をしての。甘くて美味しいと評判になったけぇ、もう店頭に立たなくても勝手に売れるようになってしもーたんじゃ。
清さん
yukimi
直売所で試食を出すとはやはり熱量が違いますね! そしてその後、評判になるというのもすごい!生産者の名前入りシールが貼られる直売所だからこそのやり方ですね
そうそう、真面目に野菜づくりしていたら、自分のファンができていくからの。ちゃんと土作りから真剣にやることが大事じゃ。わしは井倉牧場の有機堆肥を使って土をつくるようにしとるんじゃ。ほんで、太陽の向きに合わせて畑に苗を植え、露地で栽培する。育てる間も工夫の連続じゃ。虫も来るし、病気がでることもあるからの。そんでいよいよ自分で収穫して、袋詰めして、値段シールを貼って並べるじゃろ。ここまで全部わし1人でやるけぇの。技術もいるし結構大変なんよ。
ほんでも、同じほうれん草だったら、味がぜんぜん違うから清さんのほうれん草を選ぶっていう岡山市内から直売所に来るお客さんもおるけぇの。それがわしゃとても嬉しいんじゃ。
清さん
シールを貼りながら、直売所の陳列棚へと野菜を並べる
yukimi
直売所のシステムを上手く使われてファンをつくってらっしゃるんですね! 実際に年間でどのくらいお野菜が売れるのでしょうか?
1人でやって100〜150万じゃ。労賃を考えたら、ぼっけぇ儲かっておりゃせんが、それ以上に、わしにとって野菜作りは生きがいじゃけぇやめれんのんよ。いいもんが採れ、それを喜んでくれる人がおるというのは、何にも代えがたいからのぅ。
清さん
yukimi
そうなんですね〜。なんだか奥深い言葉です。これから野菜づくりをしたい方に1言お願いします
その地方、その土地にあったもの、旬のものを美味しくつくるというのが基本じゃ。そこからそれぞれ工夫してつくっていく。例えば玉ねぎ1つとっても、早生(わせ)の品種を植えてみたり、晩生(おくて)のものを植えてみたり、なにがよーできるかは、試してみんとわからんのんじゃ。わしは、チャレンジ講座として野菜づくり教室も月に1回やっとるけぇの。困ったらいつでもおいでぇ。いくらでも教えちゃるよ。
清さん
採れたての水なすを浅漬にしながら笑顔でインタビューに応えてくれた清さん
清さん、お忙しい中お時間いただきありがとうございました!
実は袋詰作業のあと、朝ごはんとして採れたて水茄子の浅漬と新生姜ごはんを出してくださいました。
どれもしっかりお野菜の味がして美味しかったです。
簡単料理と言いながら作ってくださいましたが、この茄子をつくる為の土作りや苗作りから考えれば約半年かかっているわけで、、、「全然簡単じゃないです!」と思わず大きな声で言ってしまいました。笑
豪快に笑う素敵な清さん。お野菜の味はもちろんですが、こんなお人柄に触れたらお野菜欲しくなっちゃいますよね。
また、ただ陳列棚へ置くだけではなく、店頭に立ち試食を出したり、出荷の際にお客さんと話をしたり。
日々の積み重ねが、清さんのファンをつくり、野菜づくりへのモチベーションとなっていることを強く感じる朝でした。
いつまでも元気に野菜づくりをしていただきたいものです。
なお、直売所での野菜販売の方法を知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてくださいね!
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