小さな学校ならではのメリットを活かしたきめ細かな授業をご紹介。
地域と連携した教育のカタチ。
新見市内の小中学校は、全校児童生徒数が100人以下がほとんど。
市街地エリア外の小学校になってくると、1学年10人に満たないクラスが大半を占めます。
子どもが少ないと、どんな教育を受けられるのか、、、親としては気になるところではないでしょうか。
しかし、田舎にある小さな学校だからこそできる地域と連携した教育のカタチがありました。
市内の2校を例にどんな取り組みがされているのか、ご紹介します。
新見市立新見南小学校の取り組み
新見南小学校は、市街地エリアの最も南に位置する新見市で全校生徒172人(令和2年2月時点)と2番目に生徒数の多い小学校です。
学区は,高梁川沿いの正田・広瀬・石蟹・長屋・唐松・足見の6地区から成り,小学校区としては広範囲に広がっており、JR伯備線を挟んだ場所には、新見市立新見南中学校があり、小中学校で緊密な連携もなされています。
石蟹山城登山
6年生を対象に、地域の歴史に触れながら石蟹山城登山。石蟹山城保存会の皆さんや石蟹公民館の協力を経て行われています。事前に公民館で講義を聞き、実感を伴った体験活動です。ふるさとの歴史と地域の方たちのあたたかさを肌で感じる、体験型の授業ですね。
米作り
市内の大半の学校では米作りをしていますが、ここでは地域の方が主体になって、子供たちと一緒にお米作りをしています。米づくり班というボランティアグループがあり、種まき(苗作り)から稲刈り・脱穀まで一貫して米づくりをしています。また、自分たちで作ったお米を自分たちで売るなどの体験も行われています。
英語の授業
英語の授業と聞くとALTによる英語の授業は、どの学校でも行われていると思います。当校ではそれに加え、ネイティブな英語を話せる地域のボランティアの方たちとの授業も行われています。この授業では、普段から勉強した英語を使って、会話をするのが目的だそうです。形式的な授業ではなく、コミュニケーション能力を高める意味で、ボランティアの方たちと英語での会話を楽しんでいます。実は、参加されているボランティアの方は移住者さん。
新見市立神代小学校の取り組み
神代小学校は、全校生徒数45人(令和2年2月時点)と50人を切っており、1クラス10人に満たないクラスがほとんどの小学校です。
学区は、足立・油野・下神代の3地区で、中学校は新見市内で最も生徒数の多い新見市立新見第一中学校への進学となります。生徒数が少ない分、地域との連携を大切にした教育活動がなされています。
神代和紙で紙すき体験
6年生を対象に、神代和紙保存会や神郷公民館の協力を経て、地域にある伝統工芸である神代和紙の紙すき体験が行われています。自分たちの手で卒業証書を作れるのはこの学校だけかもしれませんね。地域の伝統工芸に触れつつ、地域住民の取り組みへの参加をする事により、地元に残る伝統工芸への関心が深まります。
太鼓田植
神代には、太鼓田植という伝統行事が残っています。5月の下旬にある、神郷太鼓田植のイベントで5・6年生が披露します。男子は「さげ(太鼓)」、女子は「早乙女(踊り)」のパートに分かれて、保存会の方たちに指導してもらいながら、練習するそうです。また、岡山後楽園でも披露するなど、地域の方たちの交流を深めながら、伝統行事保存にむけた活動をしています。
鼓笛隊
神代小では、イベントなどで鼓笛隊を演奏披露しています。3年生以上で編成されており、演奏をしながら移動するという大人でも難易度の高い演奏をしています。
小学校で代々受け継がれている伝統行事ですが、今は神代小学校ともう1校でしか活動していないそうです。地域住民も昔から受け継がれている鼓笛隊がなくならないようにと、披露の場を提供するなどしています。今では、OBが教え手として活躍もしています。
これからの時代は、地域とともにある学校教育
今回は、新見市の2つの学校から、地域と連携した授業を取り上げました。
他にも学習支援、読書支援、農業体験支援、安全支援と多岐にわたった活動も行われており、ご紹介したようなそれぞれの地域でしかできない学びの場もあります。
田舎は、全体の児童数が少ないため、子どもたちは切磋琢磨する機会が少なくなりがちですが、それ以上に地域の方々との交流を通じて、会話や挨拶をかわし、勉学だけでなく感謝などの気持ちを育てることができる重要な機会を得ることができます。
学校での勉強といえば、教室に大勢の子どもが座り板書に向かってするのが当たり前と思っていたのも過去の話。
社会に出てから求められるのは、机上で勉強したことだけではなく、いかに周りとコミュニケーションを取りながら自分の力を発揮することができるか。
そしてその力は、地域との関わり合いによって得れるものもあるのではないのでしょうか。
これからは「地域とともにある学校」として、地域との関わりが求められる時代になっているのかもしれませんね。