耕作放棄地 × ドジョウ 〜田んぼの有効活用のススメ〜

田舎道を走っていると目に入る田んぼ。

綺麗な田んぼもあれば、草ボウボウで荒れた田んぼも。
そんな荒れた田んぼに救世主?

耕作放棄地で「ドジョウ」を養殖をしている現場に取材へ行ってきました!

 

日本の原風景といえば?と質問されたら、おそらくほとんどの人が「綺麗な田んぼ」のある里山を思い浮かべるのではないでしょうか。

芽吹きの春、田を耕し水を張り、家族で田植え。
水管理や草刈りをしながら夏を越え、秋には、黄金色になった稲穂を収穫。

何代も前から続いてきた営みですが、時代の変化と共にお米作りをやめる生産者さんや、家も田んぼもそのままで都市部に引っ越してしまうケースが増え、荒れた田んぼ「耕作放棄地」が日本全国の農村部で問題となっています。

今回の記事では、“荒れた田んぼをどうにかしたい!”という想いから「手がかからないドジョウ養殖」に行き着いた新見市大佐地区にお住いの雛田さんの例をご紹介します!

 

大佐という土地で

大佐は大佐山などを中心に、キャンプ場やパラグライダー、シャワートレッキングなど様々なアウトドアアクティビティが楽しめる自然が豊かな土地。 資源豊富で、四季折々の景色が楽しめるエリアです。

その資源の1つ「夏日の極上水」は、大佐山の北側で湧き出ており、平成の名水100選に選出された程綺麗で美味しい湧き水です。

大佐のシンボル「大佐山」

今回ご紹介する養殖の現場は、そんな綺麗な湧き水の麓「大佐上刑部(おおさ かみおさかべ)」。

実は、ドジョウは、農薬などが流れ出ている水では生きていくことができず、準絶滅危惧種に指定されています。
綺麗な水と環境が必要な生き物、ドジョウ。
つまり、大佐上刑部の環境で育てるのにピッタリということなんです。

 

本業は建設業なのに、養殖をはじめたワケ

ドジョウ養殖を行なっている雛田さんの本業は建設業。農家さんではありません。

忙しく建設業をなさる傍ら、家の周りに、空き家が増え、その家の田んぼが放置され荒れていき、このまま放っておいたら山が迫ってきてしまう(田んぼが山に戻ってしまう)と危機を感じ出していたそうです。

 

そんな時、骨折でしばらく仕事ができない時期があり、何かできないかと考え至ったのがドジョウ養殖。

 

行政からも耕作放棄地をどうにかしたいという後押がしあり、平成20年からドジョウ養殖をスタート。

当初は本を参考に、当初の田んぼは水深60cmになるよう田んぼを改良し、試験的に行っていたそうですが、これでは労力も費用もかかると、もっと他の事例を見てみることに。

そこで出会ったのが、備中町平川地区で養殖をされている備中どじょう生産組合さん。

視察に行き教えてもらったのは、そのままの田んぼを活用する方法で、初期費用や作業も多くないため初心者でも簡単に始めれる画期的なやり方だったので、すぐ導入したそうです。

実は、あまり手がかからないドジョウ養殖

最初に少しだけ田んぼの土を耕す作業が必要ですが、抜本的な田んぼの改良の必要はなし。

と、育てる環境を作る手間がかからないとはいえ、餌やりやドジョウの管理など養殖自体には手間がかかるのではと思いませんか?

正直、私も思いました。

しかし、雛田さんに1年間のスケジュールを伺ってみたら、なんともシンプルな答えが返ってきました。

1番大掛かりなのは、田んぼにドジョウの餌となるプランクトンを発生させる為に、年に3回田んぼに鶏ふんを撒くこと

鶏ふんはホームセンターなどで安価で手に入られるので、実は年間を通しても経費はほぼかからない。

あとは、水がオーバーフローしてドジョウが逃げ出さないよう若干の水の管理をするだけ。

冬の間にドジョウは泥の下で冬眠するけれど、その間も水位だけは確認するようにしている。

年間で行う作業は、これだけとの話。

餌が育つ環境を整えればいいだけで、餌やりも必要ではありません。

ただ、月日が経つと泥も固まってきてしまいドジョウが泥に潜れなくなってしまうので、2年に1度は土をやらかくする作業が必要だそうです。「しろかき」という作業で、T字の道具で水面下の粘土層の地面をかき混ぜて平らにするのですが、なんとドジョウがいる田んぼのまま耕すそうなので、田んぼから田んぼへドジョウを入れ替えることなどもしません。

広さ次第ですが数日頑張れば終わる作業。

生き物を育てるって大変なイメージでしたが、ドジョウは案外簡単でびっくりです。

手作りの仕掛けでドジョウ収穫。副業として販売も!

ドジョウの収穫時は、お手製の仕掛けを使用。

この仕掛けの中にエサを入れて、1日田んぼに浮かべておくと洗濯ネットの部分にドジョウが入っているそうです。

ペットボトルと100均の洗濯ネットを用いて作っているのですが、とても機能的。

そう簡単には逃げ出せないように工夫(返し)がされ、収穫の際は洗濯ネットのチャックを開けて取り出す驚きのアイデア物です。ネットの方にはドジョウが呼吸ができるよう浮きがわりに空のペットボトルが入れられています。

収穫は、この仕掛けを田んぼから引き上げるだけなので、ほぼ手間いらず。

 

なお、収穫したドジョウは10cm前後で選別をし、6,000/kgで販売する計り売り。
湧き水への道中にご自宅があるので、看板を見た方が購入したり、口コミや同業者、うなぎのエサ用というのが主な販路です。本格的な出荷となると販路、面積が必要になり大変になるので、副業としてお小遣い稼ぎ程度でドジョウ養殖を楽しんでおられます。

また、大佐上刑部地域で行われる夏祭りのドジョウ掴みのブースへは、無料で提供をし地域活性の一役を担っています。子供たちは最初から最後まで、悪戦苦闘しながらドジョウ掴みを楽しんでいるそうです。うなぎ同様、ヌルヌルして一筋縄では捕まえることはできません!今となっては珍しくなったドジョウを知ってもらえる楽しいイベントですね。

まとめ

当初は田んぼの荒廃を阻止する為に始めた養殖。しかし、自分が育てたドジョウを収穫する楽しさやドジョウを通じてたくさんの人と関わる楽しさなど、だんだん面白くなってきて次々と周辺の田んぼで飼うことになり、今では大小合わせて18枚(約1町3反)もあるようです。写真の水の張った田んぼ全てドジョウ用の田んぼだそうです。

また、ドジョウ養殖も自然体で行なっているため、田んぼにはセリがたくさん育ち、ヤゴやタニシ、それを狙うカモやサギが集まるなど、自然と共に暮らしている田舎の風景を感じることができました。

我が家にも使ってない田んぼがあるので、活用してみよう!と考えてみましたが、実はドジョウ養殖には通年を通して水の確保ができ、上流で農薬を使っていない場所。という条件があり、我が家は水の確保が難しく断念…
ただ、この条件さえクリアすれば、はじめられるドジョウ養殖。

田んぼを荒廃させずに有効活用でき、大掛かりな資材投資をせずに地域活性も見込める一つの方法ですね!

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