就農希望者必読!ぶどうシーズン真っ盛り!我が家がぶどうで新見を選んだ理由

ぶどうで新見を選んだ理由

秋分の日でしたね。
この秋の彼岸時に、新見ではピオーネの収穫がピークをむかえます。

さて、わたくしshinoは3年前にぶどう農家になるべく東京からやってきた移住者です。近頃では東京から来た私達家族もしっくりこの地に溶け込んだせいか聞かれなくなりましたが、ここに来た当初は周りの人からよくこんなことを言われました。「何でまたこんな田舎に」と(笑

まず、東京でぶどうの産地と言えば、断然、山梨や長野の方が近いですし、馴染みもあります。では、なぜ岡山県のしかも最端、新見だったのでしょうか。

今回は、私達家族がなぜピオーネで岡山県新見市を選んだのか、新見のぶどう栽培の特徴に沿ってお話ししたいと思います。

Terroir 〜 風土 〜

新見への移住を決定付けた一番の理由はこれだと思います。
Terroir(テロワール)はワイン造りにおいては一般的な用語で葡萄畑を特徴づける自然要因を指します。日本語にするなら“風土”が適当でしょうか。

新見のぶどう産地は、標高400mのカルスト台地上に広がっております。この地はぶどう作りに最適な土地と言われています。

太古の生物より引き継がれたミネラル分を豊富に蓄えた石灰質土壌は、その性質上、水はけがよく、乾燥を好むぶどう栽培に適しています。

また、ここは400mの標高と内陸部という地理的要因から昼夜の寒暖差が大変大きいです。こと、ピオーネ栽培においては夜間の低温が濃い黒紫色の着色に有利にはたらきます。

この地のこの風土が、味の濃い美味しいぶどうを育んでいるのです。

阿哲台カルスト台上から高梁川を望む。我が家は草間台側。川の向こう側の台上は哲多で同じ阿哲台です。

Cultivation 〜 栽培技術 〜

ぶどうという植物は種類によっては一房に200粒以上の実をつけるものです。このままだと養分が分散し、見た目も悪く美味しくありません。ぶどう農家の栽培技術は、この粒を間引き美しく整えるテクニック、これに尽きると思います。

新見では私たちが就農移住する10年以上前から多くの新規就農者を受け入れており、この栽培ノウハウを私たちのような農業未経験のものでも一から学べる研修体制が整っています。

ベテランぶどう農家さんがササッと成形するそのハサミ捌きを見ていて、カリスマ美容師だ!と思っているのは私だけではないはず(笑
とても繊細な作業で、イマジネーションとセンスを必要とする技術だと思います。

こうやって手をかけたぶどうは、一粒一粒に養分が集中し、大粒で甘く美しいぶどうに仕上がります。

※新見の新規就農システムに興味がある方はこちらの記事をご参考くださいね。

農業を始めたい移住者さん必見!すぐに分かる新規就農ステップ

Sustainability 〜 持続可能な農業 〜

前述したとおり、カルスト台地は保水性に乏しく稲作には向きません。また、地中に石灰岩がごろごろと横たわっていることから、開墾するのも一苦労。昔の人々は大変苦労して農業を営んでこられたのではと思います。

戦後、この地は葉タバコの産地として一斉を風靡しました。
40年前、世の中のタバコ需要を受けて経済的にも充分に潤っていたその時分に、1人の農家がタバコを辞めてピオーネの苗木を植えたそうです。そこから、この地は葉タバコの産地からぶどうの産地へと変化を遂げていったそうです。

さて、葉タバコからピオーネに切り替わったあとも、タバコで得られた技術や慣習は引き継がれていました。その代表的なものが茅です。

私たちは、冬の間に茅を刈り集めます。春先に細かく切って畑に敷きつめ、夏の暑さから土壌を守るカバーとします。この茅の作業は、葉タバコ栽培時代から続くやり方で、“畑に茅を敷く→敷き詰めた茅ごと耕す→土に帰る”を何年も繰り返し、肥沃な土壌を育ててきました。もちろん、葉タバコ以前は茅葺屋根の資材として活躍してきたものです。また、一年に一度茅を刈ることで土地を荒らさず、景観維持にも役立っています。

晩秋、日の落ちかけにようやく積み終わった茅の山を目の前にすると、この上ない充実感に満たされます。
茅場

Harvest 〜 収穫 〜

早朝。我が家ではまだ薄暗いうちから収穫をはじめます。明らんでくると自分たちが濃い朝もやに包まれていることに気がつきます。

雲海です。

私たちが新見を選んだ理由の一つにそんな風景に惚れたというのもあります。

そして、新見は、他のぶどう産地よりも収穫時期が遅いです。毎年9/10ぐらいから収穫が始まり10月いっぱいまで採り続けます。他の産地と時期がズレているのも有利に働き、新見のぶどうは市場で引き合いも多いようです。
雲の上のぶどう園

いかがでしょうか。私たち家族がぶどうで新見を選んだ理由、他にも細かい理由はあったと思いますが、やっぱりぶどうを作るならここだ!という思いが強かったと思います。

Iターン移住の良いところは、目的に合わせて、どこへでも行けるところだと思います。私たちは「ぶどう農家になる!」という目的があったので、上記のような理由で新見を選ぶことになりました。

みなさま、移住のカタチはいろいろです。是非ベストな移住を見つけてくださいね!

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