86%
この数字がなにかわかりますか?
正解は、新見市全体における森林面積の割合です。
日本全体の森林面積が約66%なので、上の数字を見れば新見市を知らない方でも、市内どこにいても山を見渡せる中山間地域だと言う事が想像できると思います。
福岡県福岡市から移住した私は、今まで山というものが身近な存在ではなかったため、知識もなく、もちろん木を切るなんてことは考えもしなかったですが、新見市に移住して山という存在が身近になり、山林の現状や課題を目の当たりにし、林業家の人から話を聞く事で、田舎での生活に山林は直結している事を知りました。
おじいさんは山へ柴刈りへ…
昔話でしか聞いたことない話でしたが、自らの山に入って木を切り、薪にして燃料にするというのがひと昔前まで普通に行われていたんです。
最近こそ、薪を燃料にするのは、薪ストーブを入れている家か、お風呂が薪ボイラーの家庭に限られてきて、自ら木を切る事は、新見市の人でもだいぶ少なくなってきていますが、今では形を変えて、林業という山の木を切り山林の環境を守っていく仕事が需要を増してきており、田舎らしいはたらき方の一つとして若い世代を中心に盛り上がりをみせています。
せっかく山がたくさんあるなら自分で木を切り出して薪ストーブで温もりのある生活がしたい!
こう考えている移住希望者の方は多いと思います。
ですが、自分より大きな木をチェーンソーという機械を使って切るという事は、非常に危険な作業でもあります。
では、林業経験なしのド素人が安全に木を切れるようになるにはどのようにしたらいいか?
という事で、まさにそんな林業経験なしのド素人である私が、チェーンソーの特別教育を受講してきましたので、その時の様子をレポートしていたいと思います。
今回受講したのはこの資格! 「伐木等の業務に係る特別教育」
今回私が受講した資格は、「伐木等の業務に係る特別教育」という資格です。
この資格は、
労働安全規則第36条第8号の業務 ⇒ 安全衛生特別教育規程第10条に基づく教育
事業者は、胸高直径が70㎝以上の立木、胸高直径が20㎝以上で、かつ、重心が著しく偏している立木の伐木などの業務に労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育をしなければならないことが義務付けられています。
事業者様に代わり当社が教育を行うもので、規定の教育を修了された方に当社規定の修了証を交付します。
という内容で、簡単に説明すると、林業に従事するためには必須な資格で、大きな木を安全に切るための知識や、チェーンソー整備の方法、安全教育など、伐木※木を切ることについて総合的に学ぶっていう資格です。
学科1日、実技1日の述べ2日間みっちりと受講しなければいけない講習ですので、どちらかというと林業に従事する人向けのしっかりとした資格ですね。
ですが、受講要件などはなく誰でも受講する事ができます。
チェーンソー初心者の私が受けている程度ですからね。
受講料はテキスト代込みで、約12,000円です。
1日目 学科講習
1日目の学科学習では、伐木を行う上での心構えや、それに伴う準備、伐木の方法、事故事例などを総合的に学びました。
まず、講師の先生が2日間を通して、繰り返し仰っていた事は、「死ぬな。」でした。
これは冗談でもなんでもなく、木を切る事はそれほど危ないことだという事でした。
その「死ぬな。」を前提に、安全に伐木を行うための方法を学んで行きました。
学科の内容としては、受け口と追い口と言われる切り込みを、チェーンソーで入れて木を倒す基本的なやり方などを学んだり、木の太さや生えている条件によって、追いづる切りや三段切りなど様々な切り方の方法を変えるなど、専門的な知識を得る事ができました。
このような切り方があるのも、安全に木を切り倒すために生み出された方法という事で、専門知識の一つ一つが「死ぬな。」に繋がっていますね。
仕事として木を切っている方には当たり前の知識だと思いますが、私のように普段山に入る事のない人間としては、教えてもらう事はない知識なので実際に山に入り伐倒する際には役に立つ知識になると思います。
2日目 実技講習
2日目は、午前中にチェーンソーの仕組み、整備の仕方を学び、午後からチェーンソーを使って切り方を学びました。
午前中には、実際のチェーンソーを使って、分解して組み立てたり、エンジンを始動したり、チェーンソーの刃を研ぐ「目立て」のやり方を学んだりしました。
チェーンソーの整備を行うか行わないかで、機械の寿命はもちろんですが、木を切る能率が倍も変わってくるという事は驚きでした。
機械物って買ってからのメンテナンスが素人には難しく、変に扱うと壊れるんじゃないかと思って躊躇してしまうので、分解から整備のポイントまで教えてくれるのはありがたいですね。
午後からの伐倒講習は、実際に受け口、追い口の入れ方を体験したり、実際に生えている木を見てどっちに重心が向いているかなどを考えるなど実践形式で学びました。
参加者の中には林業の現場で活躍されている方もおられたので、時に参加者同士で教え合いながらしっかりと体験を行いました。
チェーンソー初心者の方には、実際に山に入っていきなり木を切るのではなく、このように事前に平地で基礎を学べるのは非常にいいと思います。
もちろん、実際の現場とでは要領から何から全てが違うと思うので、この体験で技術が付いたとは思いませんが、一度体験して山に入るのと知らずにいきなりやるのとでは、全てにおいて雲泥の差があると感じました。
まとめ
この講習を通して感じた感想としては、伐木に関する基本的な事項は学べますが、チェーンソーの扱い方が上手になるわけではありません。
講師の先生も仰っていましたが、伐木に関しては基本的に経験が全てのようです。
確かに、車の免許にしても、免許取得してその後一度も車に乗らなかったら、ペーパードライバーになってしまいいざという時に運転できないですもんね。
ただ、車と一緒で、伐木もルールや使い方を知らずに使うと、命の落とす事故を起こす危険性がありますので、きちんとした知識を学んでおく事は必要だと思います。
12,000円という金額をどう捉えるかは人それぞれですが、技術取得にお金を出すというより、知識を得るためにお金を出すという捉え方がいいですね。
個人的には、この2日間の講習を受けて伐木に対する知識が拡がったのでよかったと思っています。
講習を受けたからと行って、一人で山に行くのはまだ不安ですが、地域の方は大体の人が木を切ることができるので、今度は山に付いて行って教えてもらいながら実際に木を切って見たいと思います!