森を食べたい / 行ってみてわかるコト_話 02

持続可能な暮らし

と聞いて何を連想するだろう。

作物を栽培して肉を狩猟し、森から木を切ってきて燃料や材料とし、川や雨水で水浴びしたりするような暮らしだろうか。

とってもワイルドでそれもありだ。

が、かなり過酷だ。大家族であっても遊ぶ暇なんてあまりないだろうし、生活だけで手一杯だろう。

私が、前回の_話 01「森を食べたい / 暮らし探しの旅をしてたどり着いた場所」で探していたのは、

自然知恵テクノロジー融合した

現代的生物学的にもエネルギー的にも個人的にも持続可能生活スタイルだった。

その土地にあった持続可能な形で電気や水や熱が供給され、インターネットがあったり、車も使うだろうし、自分で作物を育てるが孤立せず地域で食べ物を交換したり買ったりなんかもしてもいいと思うし、快適で安全な住居空間があり、自然で遊べる余裕がある。そんな暮らしだ。

Permaculture (パーマカルチャー)

はそんな環境にも人間にも配慮した暮らし全般の設計を指す言葉。

そこで、この言葉をキーワードに旅を始めたのだが、訪れたところは暮らしが確立していたところばかりではない。

実際は、探求中・挑戦中・設計中というところがほとんどだったし、目指す姿も人それぞれ。食料の自給自足を目指すところもあれば、自分達で家は作るしエネルギーも100%自給自足したい、というところもあった。

 

episode1 山の上 編

 

「今日ジャグジー行こうよ」

誘ってくれたのは一緒に作業をしていたチリ人。

そうだな、今日行っておかないと、明日からは雨だ。

 

。。。よし。。。

 

これはジャグジーに入る前の心の声。

なぜならここは標高約3,000mの山の上。

富士山8合目の少し低いぐらいだろうか。8月末なのにダウンを2枚着ていた。

因みにジャグジーとは、山の雪解け水が川になり良い感じに滞留している岩場のことだ。

見ただけで冷たい。でも、入ると頭の中までスッキリするほど気持ちが良い。

鳥はいない。聞こえるのは谷を流れる風の音と、遠くの方でカラーン、カラーンという遊牧民が牛を放牧している鈴の音。

 

静かだ。

作業場は50人ほどが宿泊できる山小屋。そこでは管理運営作業と小屋の改修なんかを1ヶ月ほど手伝わせてもらっていた。

ここは巡礼のルート上にあり、周辺では人気の登山スポットでもあるので夏場は絶えず色んな国籍の人が山旅の疲れを癒しに来る。もちろん車はない。週に2回、馬6頭ほどで街から物資が運び込まれて運営されていた。食べ物は限られている。

水は雪解け水、熱源は薪とプロパンガスがあって、電気は太陽光で賄われていた。そのため、悪天候が続いて満室になるほどの人が押し寄せるとキャンドルナイトだし、濡れると全身が凍りそうだった。電波は風と共に気まぐれで運ばれてくる。

人員は度々入れ替わったが、一緒に作業していたのは国籍さまざまな旅人8名ほど。そして、大柄でアゴから2本のドレッドヒゲが胸辺りまで伸びている悪い海賊の船長みたいな風貌の山小屋のオーナーと元舞台女優という超絶美人な奥さんにピーターパンに似た小さな息子、そして、物資を運ぶキャラバンブラザーズと客人たち。外では馬と牛が洗濯物を齧って遊んでいた。

それぞれにココにいる理由や目的、事情がある。

話が弾まないわけがない。

夜は元宣教師が蒸留したという地ビールなんかを飲みながらそれぞれに語り合ったり、ギターを弾いたり、星を見たりして時間を共有した。

少し厳しい環境の中のポツンと山小屋には得るものが沢山あった。

 

episode2 市中の山居 編

 

「これ、いつでも使ってくれていいから!」

渡されたのはよく掘れそうなケンスコだ。

ここには到着したばかり。場所の使い方と作業についてのいわゆるオリエンテーションを受けている最中だ。

因みに今のガイダンスは畑に関するもの、

ではない。

おトイレだ。

因みにここは山の中ではない、田舎の住宅地の一角だ。

この時私の目は本当に点になっていたかもしれない。すこし驚いた。こういうのは初めてだ。

尋ねると幸い近くには公共トイレがあり、そこも案内してくれた。

そこはあらゆるものが建設中だった。

次に紹介されたのは20L程はいる透明なボトル2つだ。

「これに朝お水を溜めて、日向に転がしておくと夕方にはお湯ができるよ!」

敷地の真ん中辺りには四角柱にタープで囲われた小さな モノ が建っていた。シャワールームらしい。

オーナーは新しい人が来て少しワクワクしている。一方、私は少し不安になっている。

休むのに案内してくれたのは敷地外の藪の中にある古びたキャラバン。大人2人ほどがゆったり座れる大きさで、ワイン色のソファーが両サイドに付いている。中はそれなりに綺麗で鍵がついているが、窓が壊れていた。

少し安心した。キャラバンで過ごすことにはその時には慣れていた。とりあえずテントよりいい。

荷物を下ろしてお昼時だった。

オーナーは近くのおばあちゃんが作ってくれたというトマトの煮物の容器をお皿にしてそのまま食べている。そして、

「これ、食べたかったら取ってね!」 という。

何かがおかしい。

結局このペースで時が過ぎ、数日後にはそこを去ることにした。

少し申し訳ないが、仕方がない。住人と ある程度価値観が合う というのは重要なことだ。

朝早くに車でバス停まで送ってもらった。バス停には幸い屋根とベンチがあった。それにしても、暑い。暑すぎるし、とても乾燥している。夏の大陸性気候だ。そして、飲み物も食べ物もない。トイレもない。周辺を黒い野良犬1匹がグルグルグルグル、 あいつ、まだ居る。 という感じでずっとこちらを偵察している。結局バスが来たのは夕方になってからだった。

 

現地に行く前のやりとり と 現地に行く価値

こんな感じで、旅は基本的に流れに任せて進んだ。

自分で行きたい国を決めることは受講したいコースがあったりどうしても行ってみたい場所がある時以外は稀で、大体は相手側からオファーが来たところに行く。こういうプロジェクトで人手が必要だ、とか、頼みたい作業がある、とかそんな具合だ。そして、やりとりして相手がやりたいことに合意すれば訪問し、時がくればその国で他の場所に移ったり、また別のオファーがあったところに行く。

ここで丁寧に話をして個人を知って貰えばその場所に合っているかどうか相手側も考えられるし、こちら側も少しは想像ができる。

さらに、自分であれこれ調べるのも手だが、現地にいる人たちに色々相談するのは結局一番いい。

その道の人は初心者よりそのことをよく知っているもの だし、インターネットより確実で的確な情報が得られるのは もちろん 現地の声 だ。

そして最後はやっぱり 行ってみる だ。

行ってみないとわからないことやってみないとわからないことはたくさんある。

実際に現地に行って、何かを経験して、初めて何かがわかる のだ。

 

新見市

を初めて訪れたのは2019年10月末。市が提供するお試し暮らし支援事業新見市移住交流支援センターオーダーメイドツアーを利用しての訪問だった。

オーダーメイドツアーでは、事前にセンタースタッフが新見市でやりたいことや理想の生活スタイルについてメールで相談に乗ってくれ、それにあった案内プランを提案してくれた。

これまでの旅の経験から直感が示す先はある程度わかっている。

新見市を訪れて初めに感じたコトは

 

「  綺麗  」

 

水が澄んでいて、空気がおいしい。森の匂いがして、木々が生き生きして見える。

畑は所々畝が丁寧に整列していて、人の気配と土地への愛着を感じる。

藁葺き屋根にトタンが被せてあるような古民家もあった。

人は、暖かかった。

やりたいことを真面目に聞いてくれ、何かに挑戦している何人かの人にもお会いすることができた。

ここなら、やっていけるかも。

と直感が言ったことが 地域おこし協力隊への応募 に踏み切る決定打となった。

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