森を食べたい / さあ。開拓だ_話 04

前回の土地選びから、やっとのことで土地が決まった。
となると、今回はそう、開拓である。

草を刈ろう。

これを見て初めに取り掛かる作業として思い浮かぶことはみんな ”草を刈ろう”だと思う。

少し足踏みするほど荒れて奥が見えない。草をかき分けて一歩足を中に入れてみる。

膝から下が見えない。

地形がわからないところを歩くのには少し勇気がいるが、とりあえず感覚的に前に進んでみる。

圃場の面積は約5反。タラノキやニセアカシア、マユミの若木が生えているのが見えてくる。茶色く枯れた大きな束のカヤが30本以上は生えている。エノコログサも茶色くなって一面に生えていて、ギシギシの葉は青々としている。

さらに突き進んでいくと少し開けた所に土がひっくり返ってボコボコしているところがある。

イノシシが荒らした跡らしい。獣道も数本ある。イノシシかタヌキか、ハクビシンかホンキツネか、ここにはなんでも訪れてそうだ。

契約する前に土地の様子を地主さんに色々聞いていた。

傾斜や土地の形状がどうなっているか。沼やぬかるんでいるところがあるか。大きな石や岩があるか。何か気を付けることはあるか。

この辺一帯は大山の火山噴火の堆積物で覆われた大地。あたりには人の数倍の大きさはある岩がゴロゴロしていた。

少し心配だったが、幸い圃場内の大きな岩は過去に全て取り除いたという。また、圃場の真ん中と片側にそれぞれ1本の水路がまっすぐに通っているらしい。ぬかるんで過去に何度も嵌ったところも教えてくれた。

土地の様子と注意点が大体わかったところで草刈りだ。

この広い土地を刈り払い機で一人で刈るには気が遠くなる。表土の様子をみておきたいし、土壌調査もしたいため開墾にはまず歩行型のハンマーナイフモアという少し大型の機械を使うことにした。この機械はガソリン駆動で草を刈ってさらに細断もしてくれる優れものだ。

欲しいけど、今は手が出せない。幸い新見市にはリース会社があってハンマーナイフモアの6.6馬力を持っているらしい。ということで、軽トラも一緒に借りてきて草刈りに取り掛かった。

 

根っこごと取ってしまいたい大きなカヤや要らない若木は地元の人の協力を得て豪快に抜いていく。

 

見ていて気持ちがいいくらいに簡単に抜いてくれたが手掘りだと一日10本も取り除けないため、こういう作業に重機を持つ地元の人の助けが得られることは本当にありがたい。

ついに地面全体が見えてきた。

まだまだ始まったばかりだが、、ちょっと感動。

害獣対策と水路の整備

地面が見えてきたことで話に伺っていた2本の水路も見えてきた。

所々泥が溜まってそこにササやカヤが成長して水路を塞いでいる。雨の日の翌日にはそこから水が溢れて圃場に流れ込んでいた。

そして草を刈るとイノシシやタヌキなどの動物の出入りもよくわかる。ふんが落ちていたり、新しい穴や足跡があったり。。

とりあえず水路は掃除するとして、害獣対策は必要と思っていたが、木を植える前に何か対策をした方が良さそうだ。

害獣対策もその地域にいる動物によって対処方法がもちろん変わってくる。一般的にこの辺で害獣対策といえば電気柵かワイヤーメッシュになる。電気柵は安価だが漏電防止のために頻繁な下刈りが必要なのと、収穫が終わった秋から春にかけて取り除かないと効果が薄れるという話も聞き、ワイヤーメッシュにすることにした。

さらに、ワイヤーメッシュにも色々種類がある。メッシュのサイズや高さが違うものや、害獣対策に特化したものまで。さらに周囲にいる害獣の種類によって設置するものも変わってくる。

イノシシなら柵の下を掘られないような対策が必要だし、シカがいれば高さ2m以上の柵は必要、サルがいればそれにさらに電気棒のようなものも必要になってくる。

ので、地元の人に周囲にどんな害獣がいるのか、どれが良さそうかさらに詳しく相談してみると、とりあえず現状この辺で一番気をつけなければならないのはイノシシらしい。そしてワイヤーメッシュの種類に関しては、

「穴が大きーとウリボウが入るけー、ウリボウが入るとお母さんは突進して柵壊すけー」

ということらしいので、網目が小さめのメッシュとメッシュの下側を掘って侵入されるのを防ぐための棒を設置することにした。

設置する位置についても地元の人や地主さんにとことん相談してみる。

さらに、農業研究機構や専門家の先生の話を参考にして飛び越えられない距離や高さ、つなぎ目や出入り口などに注意しながら一つづつ金槌で杭を打ってメッシュを設置していく。

 

こんな感じで、まだまだ手を入れなければならないところはあるが、大体2ヶ月ほどでとりあえず最初の開拓作業がひと段落した。

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