森を食べたい / 土地を知ろう_話05

土地の全貌が見えてきたところで土地について知りたい。

土地にはそれぞれ特徴がある。

傾斜がある土地、平坦な土地、陰になっている土地、日当たりがいい土地、民家が近い土地、山の中の土地、木が生えている土地、野菜を作っている土地

例えばこれらは見た目でわかる特徴だが、見た目ではわからないものもある。

石が多い土地、粘土質の土地、アルカリ土壌の土地、酸性度が高い土地、生物がたくさんいる土地、水が多い土地、乾燥した土地。。。

色々ある。

これらの特徴は一つの土地に一つではなくて、色々な特徴が重なり合って一つの個性的な土地を創り上げている。そしてその個性は、時間や外的要因で常に変化し続けるし、土地が広ければ部分部分でその個性も若干変わってくる。

例えば、一部の日当たりは周囲の木を切れば変わるかもしれないし、水はどこかで水脈が変わるとなくなるかもしれない。

今回話したいことは、ガーデニングや農業をする人が必ず考えていること、現状の土地の個性を知ることについて。

土地のエレメント

土地の個性を知ることだが、土地の設計(ランドスケープデザイン)やパーマカルチャー、フォレストガーデンなどをしている人はサイトアナリシスとかニッチアセスメントとか、セクターマップなんて言葉を使う。

要するに、適材適所。

その場所の個性に合った個性を持つものを配置しよう。そのために、まずその場所の個性を知ろう。

ということだ。

ちなみに、セクターアナリシスは植物を配置するとき以外にも使える。例えば家の中。西日が入る窓の側にベッドを置くよりも、朝日が入る窓の側にベッドを置いた方が気持ちがいいだろう、とか、パントリーは北側の涼しい場所がいいだろう、とか、日中絶えず日が入る南側はリビングがいいだろう、とか、、、

さて。土地を形成する大事な要素として、「太陽・風・水・土・生物・空間」がある。なんだが五行思想のようだが、哲学的なお話ではない。

これは小学生の理科のお話。

太陽

年間でどの場所にどの程度の日光が得られるかを把握したい。その場所に立ってアナログで角度計を持って太陽の位置を計測することもできるが、今は好きな日時を選ぶと太陽の位置や入射角度がわかるアプリやサイトもあるためとっても便利だ。

押さえておきたい日は夏至と冬至。一年で一番昼が長くなる日と一番夜が長くなる日だ。この2つさえ確認しておけば、太陽の入射角度はその間を行ったり来たりする。注意しておきたいのは周りに木や障害物があるとき。障害物の陰がどの程度伸びるかは確認しておきたい。

季節ごとの海流の影響だったり、周囲の山の影響を受けて、その地域の風の向きや強さは変わってくる。そうした色々な要素が絡み合って、ある季節や月ごとに、一定の方向に風が吹きやすくなる。これを「卓越風」と呼び、家を建てるときにも配慮されたりする。果樹を栽培するときには、強すぎる風は果樹の結実を10〜30%も下げてしまったり、木を傷めてしまう原因になるため、特に強い風が吹く方角には防風林を植えた方が長期的には良い。卓越風は気象庁のHPで地域別に調べることができる。

また風は気圧の高いところから低いところに流れる。少しでも地形に高低差がある場合は気圧の差が生まれて風が流れ、このような微風は気持ちが良いし受粉には最適なので把握しておきたい。

下水道がすぐ近くに通っているところなら水道水が簡単に使えるが、経済的にも環境的にもできるだけ自然の水を使いたい。近くに水脈や水路があるか、あるいは水が溜まっていそうなところや貯められそうなところがあるかを把握する。地域によっては国土交通省のHPで水脈や井戸を確認できるが、残念ながら岡山県のデータベースはないため、周辺を歩き回ったり聞き込みしたり、場合によっては水脈調査してもらっても良いだろう。年間雨量も把握しておくと無難だ。自然の水を利用している場合は貯水を作っておいて乾期に備えたい。

また、冬場朝日がなかなか当たらないところや湿気が溜まりやすいところは霜が降りやすい。霜に弱い植物や梨などの開花が早い果物は霜の影響を受けやすいためこのような場所は把握しておきたい。

大まかには2つ、土質と土壌。土質は粒子の大きさによって、粘土、シルト、砂、礫の順に大きくなっていく。これはペットボトルに土と水を入れて十分に振って、一日置いておけばどれがどの程度入っているかわかる。土壌は酸性度と表土の厚み、細かくはミネラルなどを調べたい。酸性度は土壌用の酸度計やリトマス紙を使えばわかるが、ミネラル分など細かい調査は専門の土壌調査に出して調べてもらうか、リン酸・カリウムなどは簡易キットが売っている。

生物

土の中と外、周囲にどのような生き物が生息しているか知りたい。哺乳類や鳥類は地域で害獣指定されていたり、野鳥の会の方々が把握していたりするので聞いてみると良い。これによって、どのような害獣対策が必要か検討できる(害獣対策については森を食べたい04)。昆虫や小さな微生物が厄介だが、天敵を見つけるときなどに使えるので、できるならデータ収集していきたい項目だ。

空間

空間は、周囲の環境とその場所の役割と言える。周囲の環境とは、お隣さんや近くの農場、あとは見晴らしなどだ。近くの農家さんが育てている品目によって周囲に集まる虫や鳥なども変わってくるし、それに合わせて農薬を使っている場合はなにか防護策が必要かもしれない。また、空間を作り出すときに「視点場」を設けることは大切な要素になる。土地から見える綺麗な風景は保存しておきたい。

ベースマップとセクターマップ

これらの要素の情報をできるだけ採取して一つの地図に落とし込んでいく。

ここで最初に作る地図をベースマップと呼んでいるが、土地の図面のことだ。土地の大きさによって縮尺は変わってくるが、できるだけ1枚におさめたい。ざっくりした地図は国土地理院やGoogle Mapで入手できるが、一定の縮尺のついたより正確な図面は市役所で入手できる。新見市の場合は税務課で1枚300円で地図を出力してもらえる。

そして、この地図の上に手書きでもいいしパソコンを使ってもいいので、どんどん上に情報を重ね合わせて一つのセクターマップを作っていく。

例えばこんな感じ。黒い実線が敷地とそれに面する道路になる。ざっくりと書いていって土壌や生物など分かったものはどんどん上に足していけば良い。

こうすると防風林はどこに必要か、冬場でもフルで日光が必要な木はどこに植えられるか、水はどこから得られそうで、水が必要な植物はどこに植えると作業が楽か。

こんなことがなんとなく見えてくる。

皆さんの土地でも是非やっていただきたい。

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