草花を活かした地域活動を目指す、大橋日出男さん

約20年前に移住したキーパーソンがきっかけとなり、人が集まる集落に。
草花を活かした地域活動に取り組む岡山県新見市哲多町花木中組

新見市街地から約15分の場所にある、哲多町花木地域。
哲多町花木地域は、山と山との間に広がる自然豊かな場所です。

インタビューへ伺ったのは5月中頃、新緑が芽吹き緑がどんどん深くなってくる頃。
木々は太陽の光を浴びてキラキラと眩しく、足元には可愛い花々、鳥がさえずり、まるで絵本の世界のよう。
そんなうららかな日に、大橋さんはちょうど、自宅近くにある作業小屋でお庭に設置する柵を作っておられました。

なんでもこの地域(花木中組)には県内からも定期的に色々な人が集まるのだとか。

どうしてそのような好循環が生まれているのでしょうか?

「草花にあふれるまちへ」と活動をなさっている、中心人物をご紹介します。

地域づくり人 大橋日出男さんのご紹介

新見市哲多町花木地域在住。

同じく岡山県内の玉野市の海沿いの町に住んでいた大橋さんは、幼少期から草花などに興味を持ち外遊びが大好きだったそう。それが講じて趣味となり、大人になってからも時間があれば観察などによく出掛けてる日々を過ごされていたそう。

海沿いに住んでいた大橋さんが、どのようにして山と山との間に広がるこの土地へやってきたのでしょうか。
また、この土地のファンが生まれるしくみとは?

nami

先輩移住者でもある大橋さん。この土地にたどりついた経緯を教えてください。
約20年前、仕事がきっかけとなり新見市へ移住しました。
ある日、以前から気になっていた植物が自生していると当時の職場の方から話を聞き、哲多町花木地域に観察へ。
その時の住まいはもっと市街地にあったのですが、通っているうちに地元の方とご縁が。
”土地を世話してあげるからおいでよ”とおっしゃってくださり、家族とも話し合い「自然豊かな環境の中で暮らしたい」と引っ越しをすることにしました。

大橋さん

nami

わぁ、素晴らしいご縁があったのですね!
どのような暮らしをされているのでしょうか?
家は、これまたこの地区に住む設計士さんに相談して建てました。
日々、野菜作りや物づくりなどをして、四季を感じながら暮らしています。
野菜は農薬を使わない方法でイタリアントマトなど、この辺じゃ人があまり作らない品種を育てるようにしています。

大橋さん

nami

四季を感じながら暮らしているとは、、?
ここは本当に自然豊かな環境なので、五感をフルに活かした暮らしができます。
この土地に暮らしだして、以前からの趣味である植物の観察のほかに、鳥の観察の趣味も増えました。ちょうど昨日ブッポウソウがやってきたばかりで、あぁ、今年もこの鳴き声が聴ける時期になったかぁ、と感じています。
最近では、薬用植物にも興味がでてきて、野草を取り入れた生活をし始めました。例えば、クズの木でクズかごを編んだり、自然に存在している生物と共存できる暮らしをしていきたいと思っています。

大橋さん

哲多町花木地域ってどんなところ?

nami

哲多町花木地域について教えてください。

花木地域は、哲多町の中心部から約5分ほど山に上がった場所にあります。市街地まで約15分と生活に便利で、まちから程よい距離感にいながら自然の中での暮らしができます。

小字が5つあり、地域ごとに特徴があります。私の住んでいる中組には、困った時に頼りになる方がおられ、移住する時には何かとお世話になりました。われわれの他にも次々と移住者の方が来られていて、花の観察会に参加されていた参加者さんだったり、木工職人だったり、ワインの醸造家だったり。今度、私を含めた5組目が来られます。

地域としても、移住者を受け入れるノウハウができてきているようです。

大橋さん

自然界にあるものを活かして、地域活動

nami

哲多町花木地域では、どんなまちづくりをされているのですか?

「和桜の会」という会費制の会があり、季節の草花を観察したり、紅葉の木を植えたりする活動をしています。市外に47組の特別会員がおられ、イベントの案内や花木の草花や鳥たちの写真を入れた季刊誌のような冊子を年3回発行しています。

大橋さん

 

nami

特別会員! ファンクラブのような感じでしょうか?
どんな活動をしているのですか?
そうですね、みんなこの地域のファンになってくれて、毎年楽しみにしてくださってます。
今年は、コロナの影響もあり開催できてないのですが「4月初めにカタクリなどの花の観察、11月ごろにモミジなどの植林」の2つの催しを季節にあわせておこなっています。

大橋さん

nami

毎年2回も催し開催!
どんな形で運営しているんですか?
皆で話し合い、協力しあって運営しています。
例えば、観察しやすいような工夫を一緒に考えたり、当日の食事準備を手伝うなど。
みなさん積極的に関わりあっているので、成り立っています!
また、それ以外にもこの辺りには「花木邑親睦会」という団体もあり、その中から生まれた「うるしの会」があります。
備中うるしの植林や管理をしているグループで、私も活動に参加していて、我々の集落にも備中うるしを30本ほど植えています。
母体である花木邑親睦会では、ゴールデンウィークに「山菜を食べる会」をしていて、この前は山菜の他にうるしの新芽を食べてみようとなり、食べてみました。昔はよく食べられていたらしく、驚いたことに美味しかったですよ!

大橋さん

nami

いやぁ、なんだか盛りだくさん!
そして、すごい楽しそうですね。
はい。  色々な取り組みしているので、ご興味がある方は、ぜひ「和桜の会」や「花木邑親睦会」に参加してもらえたらと思います。

大橋さん

nami

大橋さんにとって、こういった土地で暮らすことの魅力は何でしょう?
ここは、たしかに色々なものがないし、本当に毎日やることがたくさんで忙しい。
実は田舎でなんとなしに過ごすことは難しくて、色々なことを頼まれるし、期待されます。
正直ちょっと大変になることも。でも、1人の価値がとても大きく、やりがいはたくさん。
「生きてる実感がもてる」土地である、それが1番の魅力かもしれないと思っています。

大橋さん

nami

なるほど。。。「生きてる実感がもてる」土地、いいですね。 とても説得力のあるお話でした。
今日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました!
いえいえ、僕自身いろいろな人に支えてもらいここまで来ています。みなさんも移住したら、自分のお勤めの仕事だけをするのではなく、色々なヒト・モノ・コトと関わりを増やしながら暮らしてほしいと思います。田舎は皆さんを待ってますよ。

大橋さん

ライターから一言

青空の広がる気持ちのいい天気の下、インタビューをしている最中に、やってきたばかりのブッポウソウの鳴き声が聞こえてきました。また、渡り鳥としては珍しい猛禽類のサシバも、大きな翼を広げ私たちに姿を見せてくれていました。

大橋さんがおっしゃっていた、「交流ができないと人は来ないし増えない、田舎は1人の価値がとてもある、移住したら仕事だけするのではなく、楽しく地域に入っていき、たくさんの関わりを増やしてほしい」という言葉を強く感じる午後でした。

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