地域で手に入る木材で作品作りを 〜矢田谷工房さんにインタビュー〜

ものづくりのできる環境を求め、ご夫婦で岡山県新見市へ移住。
木々に囲まれたこの町で「今の暮らしが気に入っている」という理由は?!

旅行が好き、手芸が好き、アウトドアポーツが好き、ガーデニングが好き、音楽が好き、、、
それぞれが持つ「好きなこと」。
「自分が好きなこと」を、どう暮らしに取り入れるかって、永遠のテーマですよね。

日々の暮らしの中で、好きなことをしている人ってとっても楽しそうだし、なんだかいい感じ、、、!

今回のニミログでは、好きなことを突き詰め、充実した田舎暮しをしている移住者さんのお宅へお邪魔してきました。

野崎耕助さん(Keiさん)のご紹介

ご近所の方からいただいたという薪用の木。パイプを加えながらの外作業

写真の中央部で木を積みあえげているのが、野崎耕助さん(Keiさん)。
取材に伺った際、ちょうどご自宅の裏庭で、工房の薪ストーブ用の薪割り作業をしてらっしゃいました。

東京の下町生まれ育ち、大阪、デンマークなどで仕事をなさり、退職後はタイのチェンライへ。
各地で様々な作品を作られてきましたが、201710月に音を出して良い環境を求め新見市へと移住し、自宅前の工房で、日々、木のお皿づくり。

「この暮らしが気に入っている」と笑顔で語るKeiさんにインタビューです!

 

yukimi

お仕事は全く違う職種だったそうですが、なぜ、木でお皿をつくり始めたのですか?

もともと「ものを作るのが好き」で、約40年前に木工に出会ったわけだけど、実は、最初はお皿を作ってわけじゃないんだよ。

Keiさん

yukimi

え!?
お皿づくりの名人だと思ってました、、、!

いやいや、ぜんぜん違うんだよ(笑)。

最初は、机や椅子、飾り棚など大型のものを作っていてね。

その後、ミニュチュアの世界に。

以前住んでいたタイではお神輿も作ったよ。

Keiさん

タイ チェンライの日本人会用に1人で全てつくったというお神輿

yukimi

お神輿!?

これまたお皿とは程遠い世界ですね!

そうだよ。

まぁ、お神輿はいろいろと縁があってつくっただけだけどね。

母屋のリビングで使っているテーブルは自分達で使えているからいいけど、大きいものは本当に置く場所に困ってね。
だから家具の後、ミニチュアを作っていたんだけど、娘が住んでいるカナダで「wood turning」に出会ってからは、完全にお皿づくりの世界へ入った。
でも、タイで教えてもらえる環境がなくてね。1回だけ日本に帰り静岡県の清水で2日間だけ学び、その後は独学でやっているんだ。

Keiさん

異なる2つの樹種を組み合わせて柄を作った1番のお気に入りという作品。木目とコントラストがとても美しい

 

 

 

yukimi

独学!すごいですね!

しかし、本当にとても綺麗です。

1枚作るのにどのくらいかかるのですか??

細工などにもよるけど、木を削って仕上げをするのに少なくとも2日、長いものだと約1週間かかるよ。

Keiさん

yukimi

1枚を作成するのに、そんなかかるとは、、、

どんなライフスタイルなんでしょう?

工房と母屋を行ったり来たりする暮らしだよ。

今は冬だから、朝7時頃に起きて、工房へ行き、犬に餌をあげて薪ストーブに火を入れ、母屋で朝ごはんを食べてから犬の散歩へ。帰ってきたら作業開始。昼は母屋に戻って食べて、一休みしたらまた工房へ。日が暮れてきたら母屋に戻り、晩飯食べて、そのまま就寝準備。寝るのは24時頃かな。
土日関係なく毎日こんな感じで、毎朝「行ってきます」と出ていくから、お母さんには「働いている頃と変わらないわね」って言われるよ。実際、俺的にも毎日仕事に出かけている感覚だよ。徒歩10秒だけど(笑)

Keiさん

作業小屋の中の様子。整然と並べられた道具に陽の光があたとりとても綺麗。窓から見えるのが母屋。

 

yukimi

毎日仕事、、、! 本当に木工がお好きなんですね〜。就寝時間が想像より遅いのですが、そんな遅くまで何をしてらっしゃるのでしょうか?

情報収集しながらの勉強だよ。色々な人がyoutubewood turningの作業風景などをアップしているから、動画をみながら、どうやって細工しているのか研究している。

よくチェックしているのは、アメリカ、イギリス、ロシアあたりのチャンネルかな。

お母さんには「よく飽きないわね」って言われてるよ(笑)

Keiさん

 

yukimi

新見にいながら、世界中と繋がってるんですね!

実際にこの町で作品作りをし出してみてどうでしょう?

木材の手に入れ方が変わったね。

昔は、材木屋さんから買っていたけれど、新見に来てからは、大阪時代から付き合いのある材木屋さんへ一度買いに行っただけ。
今は、地域の人の繋がりで色々声かけてもらい、材料をいただけるようになったよ。

最近だと、近所の農家さんから「田んぼをするのに木が邪魔だから切ることにしたので取りにこい」と言われたり、風雨で倒れた庭木を持っきてくれたり、、、。なんやかんやでこの2年間で色々な木が集まって、作業小屋にはストックがたくさんできたよ。

今朝、割っていた薪も近所の人からいただいたものだしね。

Keiさん

yukimi

わぁ、田舎ならではの材料供給ですね。

どんな種類の木が集まっているんですか?

ケヤキ、サクラ、クリ、クワ、モミジ、エンジュ、、、本当に、色々だよ。

新見に来るまではこんな暮らしになるだなんて想像もしてなかったけど、人との繋がりができたからこそ今が在るって本当に思うね。実は僕たちの繋がりが広がったきっかけは、地区で古物商をしながら皆が集えるお店をしている宮脇さん。移住前に家を見に来たときからのお付き合いで、色々気にかけてくれて、いろんな人を紹介してもらい、本当に感謝している。

Keiさん

工房の前で。近所から届いたというサクラの木と一緒に

 

yukimi

人との繋がりの中から、木との繋がりが生まれているんですね~。

これからチャレンジしてみたいことはなんでしょう?

 

やっぱり、もっと技術を磨きたいね。今は木の組み合わせやレジンを入れることで柄を出しているけれど、今度は彫刻で装飾をしていきたいって思っているよ。

どんどん新しい作り方がyoutubeでアップされるし、よりよいものを作りたいって思うから、wood turning自体はいくつになっても、やめられないね。

Keiさん

ご自身で作られたガゼボで奥様と夕涼み

 

yukimi

もうすでにとっても素晴らしいのに、、、! やっぱり、技術向上に終わりはないのですね。他にもやりたいことなどはありますか?

お母さんが、屋根付きのウッドデッキが欲しいっていうからね。それは近々つくりたいな〜だなんて思ってるけど、いかんせん屋外のものを1人でつくる作業は大変だからね。今は薪割りが忙しいし、、、まぁ、地域の行事にも参加しながら、ぼちぼちやろうと思ってるよ。

Keiさん

Keiさん、お忙しい中お時間いただきありがとうございました!

半袖短パンで過ごしていたタイの暮らしから、一転。
岡山の県北の山間のまちでの暮らし。
まさか自分で薪割りをして薪ストーブを使うだなんて思ってもなかったと教えてくれたKeiさん。

ご自宅に飾られた木工作品はいつまで見ても飽きることなく、
パイプから漂う良い香りと、木の香りが相まって、とっても気持ち良くついつい長居を、、、

本当に木工がお好きで、木の器(wood turning)を作りながら充実した毎日を送られていることが伝わる時間でした。

なお、Keiさんは作品をinstagramで発信中
ぜひフォローしてみてくださいね!

 

 

\ CHECK /
工房で木のお皿を作る2日間の体験プログラム有り。ご興味のある方はinstgramから問い合わせ。

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