【農家のレシピ】旬の香りを長〜く楽しむ♪柚子ジャム

柚子ジャムレシピ

我が家には数本の柚子の樹があります。
しばらく空き家であったこの家に既にあった樹で、移住してきた年から毎年欠かさずたくさんの柚子を実らせてくれます。

本業であるぶどうと違って、柚子の樹は収穫以外は全く手をかけることがありません。無農薬、無施肥、完全な野のものです。

収穫した柚子は直売所に

そんな世話いらずの柚子の樹ですがトゲが酷いので収穫は少し大変です(汗
ですが、緑色が黄色になり黄色がどんどん濃くなると、採らざるを得ませんね。そうやって収穫した柚子は、もちろん我が家だけでは消費しきらないので、直売所に出します。

田舎暮らしの憧れ!?家庭菜園の野菜を売ってみよう!

この時期、直売所には各家で採れた柚子がたくさん並んでいます。

キッチンに充満する香り♪柚子ジャム作り

収穫中に地面に落としてアタリが出たものや、色形が悪いものは自家消費することにしています。今回はそんな柚子しごとの定番、農家の柚子ジャムレシピを紹介したいと思います。

RECIPE
柚子ジャム

材料(300mlビン6つ分)
柚子 丸のまま1.4kg(中サイズが15個くらい)
砂糖 1kg(外皮と薄皮と果汁の重量の80%)
※大きめの鍋が2つ必要です。普通サイズのお鍋しか無い場合は柚子1kgで作ると程よい量です。

作り方
柚子は洗って、6等分の串切りにし、搾る。種はとろみ付けに使うので、分けて、お茶パックに入れておく。果汁の重さを計る。
柚子シャム作り1
種は果汁を絞る時にザルで避けると手っ取り早いです

薄皮をもぎとり、ざく切りにする。外皮は細い千切りにする。薄皮と外皮も計量する。

外皮をたっぷりの水に入れて、5分程茹でこぼす。同様の作業をもう一度繰り返す。
柚子ジャム2
茹で汁を流したあとはシンクの磨き掃除を!皮に含まれるリモネンが水垢をきれいに落とします。

鍋にすべての材料を入れ、あくをとりながら煮詰める。


砂糖が溶けるまでは汁気がありません。

ジャムを煮詰めている間にジャム瓶を煮沸します。
柚子ジャム作り5
ジャムが焦げないように気にしつつ

ジャムがボコボコと煮え始めてから10分ほどで柚子種は取り出し、さらに煮ます(5分程)。
程よい硬さになったら、火を止めて熱いうちに瓶に注ぎます。
柚子ジャム作り6
お鍋の中ではゆるいぐらいでOK。冷たいお皿に取って硬さを確認すると確実です。

瓶を逆さまにして冷ましたら、完成。
柚子ジャム作り7

柚子しごとの何よりも良いところは、作業中も作業後もしばらく、キッチンが柚子の香りでいっぱいになるところです。この香りの正体であるリモネンは洗剤にも使われるオレンジオイルのことで、油汚れを落とす効果があります。茹でこぼした汁を流した後はついでにシンクの磨き掃除をしてみてください。水垢が面白いようにキレイに取れますよ。

ジャムのとろみ成分ペクチンについて

ジャム作りで重要な役目を果たすペクチンについて、少し解説しますね。
ジャムは植物に含まれるペクチンが糖や酸と一緒に加熱されることによってゲル化する性質を利用した食品です。そして、このペクチン含有量、実は柑橘類の果皮がダントツNO.1!

主だった果物の新鮮物可食部に対するペクチン含有量は下記の通り。

4%以上 :温州みかん果皮
3〜3.99%:柚子パルプ
2〜2.99%:柚子果皮、ポポー、アボカド
1〜1.99%:かりん、イチジク
.50〜.99%:りんご、バナナ、かき、いちご、キウイ、柚子果汁
.50%以下 :梨、あんず、桃、梅、ぶどう、パイナップル

ペクチンは植物の細胞壁に存在するもので、柚子の場合、薄皮や種に多く含まれています。ポン酢用に柚子汁を絞った時などは、不要になった種は捨てずに冷凍庫に取っておくと、後のジャム作り(りんごジャム、キウイジャム、いちごジャム)で追加ペクチンとして活用できます。ジャムは煮詰めれば煮詰めるほど果物の色が失われますので、特にキウイやイチゴなど鮮やかな色を残したいジャムはペクチンを付加して、手早くゲル化させると良いです。

このとろみ加減、ペクチンの量だけでなく、糖や酸の量とも大きく関係します。また果物の熟度によっても変わりますので、その配分をうまくコントロールするのが、ジャム作りの楽しいところです。

意外なことに、野菜のトマトにも0.50%程のペクチン含有量があります。トマトは程よく酸味もあることから、ジャムにしやすい野菜かもしれませんね。
(JAあしんトマト部会でトマトジャムの商品化を実現されています。JA直売所で販売されていますので、是非お試しください!)

柚子は酸もペクチンも多い果物なので、ほんとにとろみが付きやすいです。煮詰め過ぎないように気をつけてくださいね。私は毎年1回目の柚子ジャム作りでは煮詰め過ぎて寒天のように硬くなってしまいます(笑

果樹農家にとって、ジャムは保存の効く加工品として、魅力的な商材だと思います。
以前、当サイトで紹介しました6次産業化についての記事はこちらです。

加工品製造で農業が“生業”ナリワイに化ける?!

柚子の魅力

冒頭の写真、ジャム瓶に貼ってあるラベルは、恥ずかしながら、私が消しゴムはんこで作ったものです(汗
特徴のあるゴツゴツした形や荒い肌。野性味溢れる(本当に野放し)柚子はアートやクラフトの題材にしても面白いです。

柚子は育てやすく、他の柑橘類に比べて寒さに強いことから、民家の庭などでよく見かける果樹です。ただ「桃栗三年、柿八年、ゆずは九年でなりさがる〜」という唄からも伺えるように、実を付けるには少し時間がかかるようです。もし、検討中の空き家の敷地内に柚子の樹があったなら、それは儲けもの!大切に紡いで、田舎暮らしを豊かにする食や創作に是非ご活用ください!

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