ニミログライターが感じる農業 〜注目のトピックは「スマート農業」と「小さな農業」〜

さて、いきなりですが皆さんに質問です。

「農業」と聞くと、どんな風景を思い浮かべますか?

見渡す限り広がる田畑、広大な土地を耕すトラクター、整然と並ぶハウス。

山間に現れる棚田、斜面に植えられた果樹、家と畑が寄り添うような形で人々が暮らす。

イメージを区分するのは難しいですが、前者はどちらかというと平野における農業、後者は山における農業です。

今月のニミログは、そんな「山」ではじめる自分サイズの「新しい農業」がテーマ。

第一弾の本記事では、関東地方の住宅地から中四国地方の山間へ移住し、暮らしながら実際に見聞きした農業についてご紹介させていただきます!

 

どんなところで「農業」をしているの?

山の多い日本列島。

その面積の7割は山で、その山々で成り立つ地域を「平地(平野)」に対して「中山間地域」という言葉で表現されることがあります。

(私は引っ越してくるまでこんな言葉知りませんでした!)

 

 

見渡す限り広がる大豆畑(平地農業地域)

 

山の斜面に広がる水田(中山間地域)

 

 

 

 

この中山間地域における農業は、全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割を占めるなど、日本の農業の中で重要な位置を占めていると言われています。(引用:農林水産省ホームページ)

そして、私の住む中四国は、その大部分が中山間地域。
ということで、中四国へ移住して農業を、、、と考えられている方は、もれなく「山での農業」を想像なさっていいと思います!

*もちろん中四国地方にも平野部はありますし、中山間地域であっても整備を進め小さな田畑を大きくしている場所がたくさんあります

どうやって新しく「農業」をはじめているの?

中山間地域

日本の田畑は、この40年で、約600haから3割減り、約444haへ。

農業に関わる人はこの10年で、約260万人から約170万人へと減ったそう。

私は昔のことはわかりませんが、確かに、明らかに以前は田畑だったんだろうな〜という場所が荒れていたり(耕作放棄地)、「わしの後は誰も畑をやらんのんじゃ〜」というのはよく耳にする話です(後継者不足)。

ですが、もちろん新しく農業をはじめる人だっています。はじめる人は1年で約6万人(2016年)。この数は、決して多いとはいえませんが、新たに農業を始める人が6万人いると聞くと、ちょっとホッとしますね。

実際、農家さん=おじいちゃん・おばあちゃんだけではありません。若くて元気に生産している方もたくさんいらっしゃいます。(ただ、勢力的に生産している農家さんは忙しくしてらっしゃるのでなかなか会うチャンスがなく、よく話をするのは、おじいちゃんおばあちゃん、という田舎あるあるはあります 笑)

 

では、そもそもで農業を始めよう!と思ったら、どんな方法があるのでしょうか。

きっとこれには正解はなく、100100通りの方法がありますが、私が今まで出会ってきた人を整理したところ主な方法は下記の3つでした。

①自分で農地を借りて、農業経営をはじめた

②親や知人から農業経営を引き継いた

③農業の会社に就職した

普通に想像するお仕事と一緒ですね!

「起業するか、継業するか、就業するか」

農業はパソコン1つあれば起業できる、、、というわけにはいかないので、1人で始めよう!と思ったら、一定の自己資金も必要です。私の友人は、最初は自分の農作業の傍らバイトをしてお金を貯めつつ、農機具を安く譲り受けたり、ハウスをセルフビルドするなど色々工夫し、農業をしています。

まずは、自分がどうやって農業をはじめたいのかを「すぐに独立して農業をしたいのか、就職がいいのか」から考えてみるのもいいかもしれません。どんなサイズの農業をしたいのかイメージする。そうすると自ずとステップが見えてくるはずです。

*自治体によっては農業で新生活を始める人(新規就農者)を応援する制度を設けている場合があります。どんな自治体がどんな制度を設けているのかネットで検索したり新農業人フェアなどの相談会へ参加したりと、情報収集から始められることをオススメします。

ニミログライター注目のホットトピックは?

と、ここまでは農業の概要的なお話をしてきましたが、ここからは、最近注目の「ホット」な話題を2つご紹介したいと思います。

トピック1:スマート農業

どの分野でも言われている話ですが、農業にも「AI」の導入がすすめられています。

「スマート農業」という言葉が新しくでき、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用した農業が模索されており、国が研究、推進をしています。私の住んでいる町でも、自動操舵で走行するトラクターやラジコン草刈り機などの実演勉強会が行われるなどしており、今後どうやって普及していくのか要チェックです。

ちなみに、世界でロボットやICTを使った農業で先進的なのはオランダ。

オランダは九州程度の面積しかないのにアメリカに次ぐ世界第二位の食糧輸出国。これを支えているのがAIというのが一般的に言われている話です。とはいえ、もともと干潟を開拓して農地を作っているということや、ヨーロッパという土地だからこそ近隣国が近く輸出がしやすい、栽培品目の数が少ないなど、いろいろな条件が違うので、オランダの事例をそのまま日本に、しかも山での農業に導入するのちょっと厳しいのが正直なところ。

ただ、農作業後に伝票整理をしたり、栽培履歴を探すのに時間がかかり、本当は休息したり新しいチャレンジをしてみたいのに、なかなか時間を作れない、、、という農家さんの声が私にも届いています。

ほとんどの人がスマホやタブレットを持っている今、情報通信技術はどんどん取り入れて、効率化を測れるところは測れたら、また新しい農業が始まるのでは?!と感じます。

トピック2:小さな農業

 

今年2019年は国連が定めた「家族農業の10年」の最初の年*

「小農の権利宣言」も昨年採択され、今、小さな農業の再評価が高まっています。

「小さな農業?そんなの聞いたことないよ~」というニミログ読者の方も多いかもしれませんね。

グローバル化の政策が中心となっている一方で、小規模・家族経営の農業が、「持続可能な農業の実現」に対して、実は最も効率的だという評価がなされるようになっています。

これ、実はとっても大きなことだと私は感じます。というのも、私がお会いする農家さんのほとんどが“小規模・家族経営の農業”をなさっているからです。実際に、日本の農業経営体数は約138万、このうち98%に当たる134万が家族経営とのこと(2015年時点)。

ただ、その家族経営の農家さんが、みな専業農家かというとそうではなく、農業だけでは成り立たないので、兼業していたり、奥さんがパートに出ていたりと、みなさん工夫しながら農業を営んでいます。それが、今回の国際的な動きによって、局面が変わるかも?!

今後の日本の農業政策にどのような形で取り入れられ、中山間地域における農業にどんな影響があるかしっかり見ておきたいと思います!

*2017年の国連総会において、2019年~2028年を国連「家族農業の10年」として定め、加盟国及び関係機関等に対し、食料安全保障確保と貧困・飢餓撲滅に大きな役割を果たしている家族農業に係る施策の推進・知見の共有等を求めています。

 

あとがき

「じいちゃんが畑で育てた野菜を、夕方になるとばあちゃんが採ってきて、母さんが採れた野菜で料理をつくり、夜には父さんが帰ってきて、子どもも一緒にみんなで食卓を囲みご飯を食べる」

そんな日常が残っている地域に私は移住しました。引っ越しした当初「なんて美しい暮らしなのだ」と、とっても感動。

尊敬と憧れを抱きながら暮らしています。実は、今回のニミログのテーマ「自分サイズの農業」は、私自身のテーマでもあります。

移住して5年たってもまだ農的なことをできずに、食べる専門で日々を過ごしておりますが、周りにはたくさんの素敵な農家さんがいて、日々色々な学びを得ています。そんな学びを生かして、暮らしの中に取り入れられる、自分サイズの農をはじめたいな〜と思う次第です。

 

 

参考資料:

農林水産省「農業労働力に関する統計 

農林水産省「耕作および作付面積統計」

農林水産省「国連 家族農業の10年(2019-2028)」

国連食糧農業機関(FAO)「Family Farming Knowledge Platform

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